2025-10-05 コメント投稿する ▼
高市早苗首相誕生で日銀利上げ延期観測 積極財政が市場心理を一変
高市早苗氏が日本初の女性首相として就任する見通しとなり、市場では日本銀行が今月予定していた利上げを見送る可能性が高まっています。 高市氏が掲げる拡張的な経済政策と積極財政路線が、金融引き締めよりも景気刺激を優先させるとの見方を強めています。 高市氏は安倍晋三元首相の経済政策を引き継ぎ、物価上昇を「需要拡大による自然なインフレ」として歓迎する立場を取っています。
高市早苗新首相誕生で日銀利上げに慎重論 積極財政路線が金融政策を左右
高市早苗氏が日本初の女性首相として就任する見通しとなり、市場では日本銀行が今月予定していた利上げを見送る可能性が高まっています。高市氏が掲げる拡張的な経済政策と積極財政路線が、金融引き締めよりも景気刺激を優先させるとの見方を強めています。
高市氏は与党・自由民主党の総裁選を制し、来週の国会で首相に指名される見通しです。総裁選では「責任ある積極財政」を訴え、大規模な支出と緩やかな金融政策を一貫して推進してきました。市場はこの方針を「緊縮からの明確な転換」と受け止めています。
「高市氏は利上げに協力的ではないと見られている」
「利上げが完全に否定されるわけではないが、中央銀行はより慎重な姿勢を取る可能性がある」
「高市氏の勝利で、日銀は様子見モードに入るだろう」
「政府と日銀の関係再構築には時間がかかる」
「金融政策の主導権が再び政治側に傾く可能性がある」
こうした分析が広がる中、金融市場は円安と株高で反応しました。ドル円相場は一時1ドル=150円近くまで下落し、輸出関連株を中心に買いが集まっています。
「アベノミクス」再演か、緩和継続を支持
高市氏は安倍晋三元首相の経済政策を引き継ぎ、物価上昇を「需要拡大による自然なインフレ」として歓迎する立場を取っています。彼女は就任会見で「賃金上昇を通じて需要を押し上げ、企業収益を高めることが理想的」と語りました。
一方で、日銀はすでに1月に政策金利を0.5%まで引き上げ、長年続いた大規模緩和を部分的に修正しています。インフレ率が3年連続で目標を上回る中、植田和男総裁は「企業の賃上げが続くか不透明」と警戒を示していました。高市政権の誕生により、今月30日の政策決定会合では利上げ見送りの可能性が濃厚となりました。
慎重姿勢の背景に「政治との関係再構築」
元日銀職員の愛宕信康氏は「日銀は新政権との信頼関係を築く必要があり、金融政策の動きは慎重にならざるを得ない」と分析しています。日銀内部では「政府主導の財政拡張が続く中での利上げは時期尚早」との意見が優勢です。
市場では来年初頭に再び利上げに踏み切るとの見方が残りますが、早期の動きには懐疑的な声も出ています。野村證券の岩下真理氏は「今は金利よりも政策協調のタイミングを優先すべき局面だ」と指摘しました。
「状況はアベ政権時代と異なる」
高市氏は安倍政権下で経済産業政策を担当し、「デフレからの脱却」を最優先課題としてきました。しかし、現在は物価上昇が家計を圧迫する状況です。日本総研の石川智久氏は「当時は円高が課題だったが、今は円安による輸入物価高が問題。高市氏が以前ほど金融緩和を擁護しにくい」と話します。
高市政権は、インフレ対策と景気刺激という相反する課題の狭間で、日銀との調整に迫られます。特にエネルギー価格や食料品価格の上昇が続く中で、緩和策の継続は政治的なリスクも伴います。
為替と外交の板挟み
アメリカのトランプ政権はドル安政策を掲げており、過度な円安に不快感を示しています。米財務省のスコット・ベッセント長官は「日本はインフレ対策で遅れている」と発言しており、外圧も日銀の判断に影響を与えかねません。
10月29〜30日に予定される日銀会合の直前には、トランプ大統領の来日も報じられています。為替問題が首脳会談で議題に上る可能性もあり、金融政策は外交上の配慮を伴う複雑な局面に入ります。
市場の視線は「減税と投資」へ
高市政権の経済運営の最大の試金石は、減税と財政出動の実行力です。国民負担を軽減し、実需を喚起できるかどうかが景気回復の鍵を握ります。
市場では「給付金ではなく減税」という公約が注目されており、企業投資の拡大を通じて賃金上昇を実現できれば、持続的なインフレへの転換点となります。日銀がその流れを見極めるまで、利上げの決断は先送りされるとの見方が支配的です。
(換算基準日:2025年10月6日、1USD=149.8円)