2025-09-28 コメント投稿する ▼
高市早苗氏、日米関税合意で再交渉に言及 4候補は一定評価
高市早苗=元経済安全保障担当相は、合意に盛り込まれた対米投資額5500億ドル(約82兆円)を挙げ、「国益を損なう不平等な部分が出てきた場合には再交渉の可能性はある」と述べました。 他の4候補は合意内容を一定程度評価する立場を示しました。 特に、投資を履行しない場合に関税を再引き上げる可能性を含む条項が「安全弁」として盛り込まれている点が指摘されています。
高市早苗氏、日米関税再交渉に言及
自民党総裁選の候補者5人は28日、フジテレビ番組で日米関税交渉の合意内容を巡って議論しました。高市早苗=元経済安全保障担当相は、合意に盛り込まれた対米投資額5500億ドル(約82兆円)を挙げ、「国益を損なう不平等な部分が出てきた場合には再交渉の可能性はある」と述べました。他の4候補は合意内容を一定程度評価する立場を示しました。
小林鷹之=元経済安全保障相は、日米間で日本側が能動的に投資案件を提案すべきだと主張し、半導体やエネルギー分野を例にあげました。茂木敏充=前幹事長は「日米双方に利益が出るプロジェクトを形成する」と強調しました。林芳正=官房長官は、対米投資には留保条項が付きうるとの見解を示しました。小泉進次郎=農相は「交渉結果は評価されるべきだ」と述べました。
対米投資合意に潜む論点と懸念
この合意は輸出優遇措置と引き換えに、巨額の対米投資を日本側が約束する内容を含んでいます。これに関連して、投資の条件、リスク分担、利益配分の不透明性などが批判の対象になっています。特に、投資を履行しない場合に関税を再引き上げる可能性を含む条項が「安全弁」として盛り込まれている点が指摘されています。
また、投資先の選定権や意思決定プロセスが米側に偏るリスク、さらに投資対象が実質的に輸出増に直結するインフラや産業向け案件に偏る可能性も懸念されています。こうした構造が「投資義務化の圧力」につながるとの批判もあります。
さらに、この合意が円安の圧力を強める可能性にも注意が必要です。合意における資金移動規模が大きいため、通貨市場に対するインパクトも無視できないとの見方があります。
候補間対立軸と主張の違い
高市氏の「再交渉可能性」論は、合意を無条件に受け入れないという慎重姿勢を示すものです。国益重視を前面に出す戦略で、支持層への訴求力を高めています。
一方で他候補は合意を前向きに評価しつつ、提案型外交や条件整備を重視しています。合意そのものを否定するものではなく、実行段階での改善余地を想定する発言が中心でした。こうして「強硬姿勢か協調姿勢か」という対立軸が浮き彫りになりました。
政治的波及と注目点
高市氏が再交渉論を打ち出したことで、総裁選における外交・経済政策論争の焦点が変わる可能性があります。支持基盤を刺激する材料になる一方で、実際に再交渉を求めるには相手国の同意が必要であり、実現性は高くありません。説得力ある説明が求められます。
また、5500億ドルという巨額投資は国会や国民からの批判を受けやすいです。候補者はこの点で透明性と説明責任を果たす必要があり、政策と市場への影響をどう制御するかが課題となります。