2025-07-13 コメント投稿する ▼
平野達男氏が「小沢王国」に再挑戦 消費税論争とどぶ板戦術で岩手選挙区を駆ける
「どぶ板」で王国に挑む平野達男氏 元側近が挑む岩手決戦 鍵は“現場感”と減税論争
「どぶ板の平野」復活へ 渾身の戦いが始まった
参院選岩手選挙区で、自民党の平野達男氏(71)が再び火中に身を投じている。相手は、かつて仕えた「師」小沢一郎氏が全力で支援する立憲民主党現職の横沢高徳氏。一度は引退を決意した平野氏が「もう一度国政へ」と訴える姿は、有権者の心に直接届く“どぶ板選挙”そのものだ。
滝沢市のスーパー駐車場、二戸市の薬局、北上市の商業施設前…。平野氏は日焼けした顔で、ひたすら頭を下げ、地元の人々に語りかける。「最後は蛮勇で立つしかない」「体が動くうちは戦える」。地道な対話を重ねる姿に、かつての政治家が戻ってきたと感じる人も多い。
「派手さはないけど、こういう人こそ議員に必要」
「減税ばかり叫ぶ候補より、現実を見てると思う」
「この歳でまた戦うって、覚悟を感じる」
「地元のことは平野さんが一番わかってる」
「演説より、話しかけてくれるのが嬉しかった」
平野氏は、1990年代から長年にわたり東北の災害復興やインフラ整備に尽力。復興相を務めた実績もある。泥臭くとも着実な政治――それが彼の信条だ。
減税VS財政責任 消費税論争が再燃
今回の選挙でも大きな争点の一つが「消費税」だ。立民の横沢氏は、「食料品にかかる消費税を0%にする」と大胆な減税を訴える。だが、平野氏は「減税ばかりを叫ぶのは無責任」と一刀両断。自らが復興相時代に身をもって知った財源の重さ、そして政治の責任を語る。
「国民にウケのいいことだけを言って、あとから国を破綻させるわけにはいかない」と語る平野氏。応援に入った鈴木俊一総務会長も「物価対策は責任ある与党にこそできる」と強調し、減税論に対抗する“現実派”の構図が鮮明になった。
この「減税か、財政責任か」は、岩手だけでなく全国の有権者にも直結するテーマであり、今回の選挙区が象徴的な舞台となっている。
「小沢王国」に挑む 元側近としての因縁
平野氏にとって、対する横沢陣営の背後にいる小沢一郎氏の存在は、単なる政敵ではない。もともと小沢氏の側近として長年仕え、ともに政権交代を目指した間柄だったが、2012年、消費税増税をめぐって決裂。平野氏は民主党に残り、小沢氏は離党した。
以来、二人の道は分かれ、2019年には小沢氏が支える横沢氏に平野氏が敗北。その後、2021年衆院選では自民が小沢氏を破り、“小沢王国”に亀裂を入れたが、2023年に小沢氏が雪辱を果たし、地元での影響力は依然健在だ。
小沢氏は今回も野党共闘をまとめ上げ、横沢氏を立憲・共産・社民・連合の支援で支える万全の布陣を敷いた。これに平野氏が“素手”で挑む構図は、単なる地方選挙を超えた、30年に及ぶ政治ドラマの続編とも言える。
ベテランの誠実さか、共闘の勢いか
平野氏は、あえて“自分の限界”を認めた上で戦っている。「新人じゃできない選挙。だからこそ、最後にもう一度挑みたかった」。支持者の中には「こんな人を今の国会にこそ送りたい」という声も根強い。
一方、横沢氏はパラリンピアンという経歴を持ち、「共生社会」を前面に打ち出す。野党共闘の顔として注目を集める中、若者や女性層を中心に広がりを見せている。
だが、広い岩手県で本当に信頼されるのは誰か。日々の暮らしに寄り添い、現実的な政策を語り、10年後も地元に責任を持てる人物は誰か。有権者の一票に、その答えが託される。