石丸伸二氏の政党「再生の道」で無断撮影問題　高校生巻き込み動画公開に批判殺到

石丸氏率いる「再生の道」で無断撮影トラブル　高校生を巻き込んだ“選挙パフォーマンス”に疑問の声

立候補予定者が高校で無許可撮影　生徒の顔出し映像をYouTube公開

7月3日公示予定の参議院選挙に向けて、元安芸高田市長の石丸伸二氏が代表を務める政治団体「再生の道」が、思わぬ問題で注目を集めている。同党から比例代表で出馬を予定している浦野仁氏（30）が、山形県内の私立高校を訪問した際の動画を、学校側の了承なくインターネット上に公開していたことが判明した。

問題の動画は、6月26日にYouTube上にアップロードされたもので、浦野氏が生徒に自身や政党の理念を語りかける様子や、生徒の感想を聞く場面などが収められていた。映像には多数の生徒の顔がそのまま映っており、プライバシーや肖像権の観点からも強い批判が上がっている。

学校側によれば、訪問時の名目は「部活動の視察」であり、政治的な目的とは伝えられていなかったという。しかも、撮影後に「動画の内容は教員が確認の上で公開する」との約束があったにもかかわらず、その約束は反故にされた形となった。

抗議を受けて動画はすでに削除されたが、公開から削除までの間に一定数の視聴者へ届いていた可能性があり、波紋は広がっている。

「公職選挙法に問題なし」では済まされない　SNSでの謝罪と火消し

浦野氏は問題が発覚した後、自身のSNSで「確認不足で高校側にご迷惑をおかけしました。申し訳ございません」と謝罪のコメントを発表。一方で、「公職選挙法上の問題はない」として法的責任は否定する姿勢を示した。

だが、問題は法の範囲内か否かにとどまらない。教育現場において、未成年である生徒たちを政治活動に巻き込む行為は、保護者の了解を得ていない段階では倫理的な批判は免れない。生徒の印象を尋ねるインタビュー形式の場面も含まれていたことから、学校を“選挙キャンペーンの舞台”に利用したのではないかとの指摘も出ている。

教育評論家で千葉大学の藤川大祐教授は「無許可での動画公開や、政治的な売名行為のために学校という場を利用するのはあってはならない」と厳しく批判する。

石丸代表の責任は？　地域政党の透明性と信頼性が問われる

石丸氏が掲げる「再生の道」は、既存政党に対する不信感や閉塞感を打破する新たな政治のスタイルを標榜しているが、今回の件はその信頼性に早くも疑念を投げかける形となった。

候補者個人の行為として処理される可能性もあるが、代表である石丸氏が責任を明確にし、再発防止策を提示しない限り、団体全体の姿勢が問われることは避けられない。

教育現場への訪問における目的の曖昧さ、撮影と公開のルール違反、生徒の顔出し映像の無断掲載──これら一連の行為は、単なる不注意で済む問題ではない。とりわけ未成年を相手にした政治的アプローチには、慎重さと透明性が求められる。

市民の声は冷ややか　「法的に問題がない」では通用しない空気

SNS上でも、多くのユーザーが今回の行為に疑問や怒りの声を上げている。とくに教育現場という特別な環境で、許可なく撮影・公開されたという事実に対し、法的な正当性を主張するだけでは火消しにならないという指摘が目立った。

「『法律違反じゃないからいい』って、子どもたちを映してるんだよ？　普通にアウト」「こういうのって“新しい政治”どころか“古臭いパフォーマンス”でしょ」
「教育現場を利用しておいて謝罪で済ませるつもり？ 信頼って一瞬で崩れるよ」「生徒に無断で顔出しインタビューって、ありえない感覚」「これが“再生”の第一歩？　悪い意味で話題になってるだけだよ」

このように、行為の背景や法的正当性以前に、配慮と常識の欠如を問題視する声が多数を占めた。

政治に必要なのはパフォーマンスより信頼　教育現場に踏み込む覚悟はあるか

今回の問題は、選挙活動の自由と未成年の保護という2つの価値観の衝突を浮き彫りにした。政治家や候補者が若年層との接点を求めること自体は否定されるものではないが、その手段には最大限の配慮と事前調整が求められる。

学校という閉じられた空間においては、教育機関と保護者、生徒への説明責任を果たしたうえで、適切な形での政治的対話が必要である。そうでなければ、信頼を得るどころか、疑念と反発だけが残る。

「再生の道」という名前にふさわしい活動を今後どう見せていくのか。候補者だけでなく、代表である石丸氏の姿勢も問われている。