2025-10-14 コメント投稿する ▼
大野泰正被告の公判で秘書が証言、安倍派の指示で裏金偽装工作に関与
この時点で大野被告も了承していると認識していたと証言しています。 2022年分のパーティー収入にも150万円を上乗せする予定でしたが、東京地検特捜部が会計帳簿などを押収したため、この偽装工作は断念せざるを得なくなったと女性は説明しました。 証言ではさらに、大野被告の地元事務所が毎年30万円ほどを旧安倍派に納めず「中抜き」していた事実も明らかになりました。
派閥幹部が考案した偽装手法
公判での証言によると、偽装工作の手法は2022年8月に還流再開が決定された数日後、旧安倍派の有力者である世耕弘成元経済産業相が同派の会計責任者だった松本淳一郎氏に提案しました。その内容は、ノルマ超過分の収入を議員側のパーティー収入に上乗せして計上するというものでした。
この提案を受けて、同年9月に元政策秘書の岩田佳子被告から地元秘書の女性に連絡がありました。女性の証言によれば、岩田被告は「派閥から600万円の還付金がきたので、自分のところのパーティーに広く薄く付け替えるように」と指示したといいます。
女性は「虚偽になるが、それでいいのか」と岩田被告に確認しましたが、派閥の指示だからと説得され、「従わないといけないと思った」と当時の心境を振り返りました。この時点で大野被告も了承していると認識していたと証言しています。
「派閥の指示って言われたら、従うしかないよね」
「こんなのが組織的に行われてたなんて信じられない」
「秘書が勝手にやったって言い訳、もう通用しないでしょ」
「結局トップが知らないわけないじゃん」
「自民党の体質は何も変わってない」
実際の偽装作業と訂正の経緯
2022年9月27日と30日、大野被告側のパーティー券代が振り込まれる口座に計600万円が送金されました。その後、同年に開催した大野被告のパーティー3回分について、当日の売り上げに150万円ずつを加算する形で政治資金収支報告書に記載しました。
しかし、2023年12月の訂正で上乗せ分を削除することになります。2022年分のパーティー収入にも150万円を上乗せする予定でしたが、東京地検特捜部が会計帳簿などを押収したため、この偽装工作は断念せざるを得なくなったと女性は説明しました。
中抜きの実態も判明
証言ではさらに、大野被告の地元事務所が毎年30万円ほどを旧安倍派に納めず「中抜き」していた事実も明らかになりました。同派では少なくとも30人の議員が中抜きに関与していた疑いがあり、組織的な裏金づくりの全容はいまだに解明されていません。
大野被告は2018年から2022年の5年間で計約5100万円の不記載があったとして在宅起訴されています。初公判では無罪を主張しており、「道義的責任はあるが罪を犯したことはない」と述べました。元秘書の岩田被告も「派閥からの寄付と認識していなかった」として無罪を主張しています。
裏金議員の要職起用に批判
この裏金事件を巡っては、自民党の高市早苗総裁が2025年10月7日に発足させた新執行部で、旧安倍派幹部の萩生田光一元政調会長を幹事長代行に起用したことが物議を醸しています。萩生田氏は5年間で2728万円の不記載があったことが判明しており、2024年4月に1年間の党役職停止処分を受けた人物です。
高市総裁は「あえての起用」と説明し、「党内へのメッセージでもある。誰一人遊んでもらっても困る」と理解を求めました。しかし、連立パートナーの公明党からは「政治とカネの問題で2回の国政選挙に惨敗した。何も説明しないでいいわけがない」と強い批判が出ています。野党からも「派閥解消していない人が副総裁になり、その義理の弟さんが幹事長になり、露骨じゃありませんか」と疑問の声が上がっています。
旧安倍派では所属議員に政治資金パーティー券の販売ノルマを与え、ノルマを超えて納入した分を議員側に還流する形で裏金化していました。2022年4月に当時の会長だった安倍晋三元首相が還流の中止を指示しましたが、同年7月の安倍氏の死去後、8月の幹部協議を経て違法な還流が継続されたとされています。
今回の証言は、派閥主導で組織的に偽装工作が行われていたことを裏付ける重要な証拠となります。国民の政治不信を招いた裏金事件の全容解明に向けて、国会での徹底的な調査が求められています。