2025-10-13 コメント投稿する ▼
自民・旧安倍派「パー券中抜き30人超」判明 裏金化と黙認構造 高市総裁「人事に影響なし」
自民党旧安倍派(清和政策研究会)による政治資金パーティーをめぐる裏金事件で、少なくとも30人以上の所属議員が、販売ノルマを超えて得た収入を派閥に納めず「中抜き」していた疑いが浮上した。 旧安倍派では、議員ごとにパーティー券の販売ノルマが課され、超過分を派閥に納めた上で一部を還流(返金)する仕組みで裏金化していた。
自民党旧安倍派、パー券中抜き30人超か 事務局に無断で裏金化の疑い
自民党旧安倍派(清和政策研究会)による政治資金パーティーをめぐる裏金事件で、少なくとも30人以上の所属議員が、販売ノルマを超えて得た収入を派閥に納めず「中抜き」していた疑いが浮上した。大野泰正被告(元参院議員)=政治資金規正法違反(虚偽記載)罪で起訴=の公判で、元会計責任者らの証言から、組織的な不正構造が改めて明らかになった。
ノルマ超過分を「中抜き」 派閥も黙認か
旧安倍派では、議員ごとにパーティー券の販売ノルマが課され、超過分を派閥に納めた上で一部を還流(返金)する仕組みで裏金化していた。ところが、一部議員は超過分そのものを派閥に納めず、独自に収入として処理していたことが判明。
9月25日の公判で、同派元会計責任者・松本淳一郎氏は「ノルマを確保できれば派閥としては良いと考えていた」と述べつつも、「ノルマと同額を納入する議員が多く、不自然だと感じた」と証言した。コロナ禍でノルマを半減させた際にも、ノルマ分しか入金しない議員事務所が複数あったという。
「ノルマを達成すれば問題視されなかった」
「ノルマ分しか入金していない事務所があった」
「ノルマ超過分を派閥に納めていない議員がいた」
「それぞれの事務所のやり方なので、特に確認はしていなかった」
同派の元経理担当者も、「割り当て分(ノルマ)を入れてもらうことに集中しており、各事務所の詳細は把握していなかった」と証言。派閥事務局が議員側の「中抜き」を事実上黙認していた構図が浮かぶ。
少なくとも30人関与 中抜き総額8000万円超
東京地裁に提出された証拠資料の一覧表によれば、パーティー券の売上とノルマ額が一致している議員が少なくとも30人にのぼる。旧安倍派の最大所属議員数は約100人であり、3分の1が「中抜き」していた計算となる。
この不正による中抜き総額は「5年間で少なくとも約8000万円」とされ、議員個人の選挙費用や政治活動費に流用された疑いが強い。松本氏は証言で「裏金化された分は、各議員が自らの政治活動に使っていた」と述べた。
中抜き議員名は非公表 高市総裁「人事に影響なし」
問題が表面化しても、該当議員の名前は一切公表されていない。こうした中で、高市早苗総裁は「裏金事件に関わった議員であっても、人事には影響しない。しっかり働いてもらう」と4日に明言。
実際に、高市氏は5年間で2728万円の不記載が判明し、秘書が略式起訴された萩生田光一元政調会長を幹事長代行に起用しており、厳正な処分よりも「党運営の安定」を優先する姿勢を見せている。
「事件に関与した議員でも人事に影響はない」
「しっかり働いてもらう」
(高市早苗総裁の発言、10月4日)
専門家「未解明のまま要職起用は無責任」
政治資金オンブズマン代表の上脇博之・神戸学院大学教授は、派閥内部の監査体制の不備を強く批判している。
「中抜きの人数や金額を派閥事務局すら正確に把握していなかったことが分かってきた。国会で徹底的に調査し、真実を明らかにする必要がある。未解明の状況で事件に関与した議員を要職に起用するのは、あまりにも無責任だ」
派閥の自浄作用が問われる中、事件の全容解明と議員処分の在り方が改めて焦点となっている。
旧安倍派の裏金事件は、単なる一部の不正ではなく、派閥構造そのものの腐敗を示すものとなった。少なくとも30人以上の議員が関与したとされる「中抜き」行為は、政治資金規正法違反の可能性が高く、組織的な隠蔽の疑いも残る。にもかかわらず、自民党執行部が「人事に影響なし」とする姿勢は、国民の政治不信をさらに深めかねない。