2025-09-25 コメント投稿する ▼
旧安倍派 裏金づくり一覧表を会長了承 松本淳一郎氏が証言
これにより、政治資金収支報告書に記載されない資金の流れが、派閥内で事実上の制度として定着していた実態が明らかになったのです。 新人議員には先輩や秘書が「収支報告書に記載しなくていい」と教え、松本氏自身も「従来そうしてきた」と伝えたことがあると証言しました。 収支報告書に記載しないことは議員側にも徹底されていた。
旧安倍派で浮かび上がる組織的手口
自由民主党(自民党)旧安倍派(清和政策研究会)を巡る政治資金規正法違反事件の公判で、重大な証言が明らかになりました。25日の審理で出廷した松本淳一郎=旧安倍派元会計責任者は、議員ごとに課されたパーティー券販売ノルマの超過分を「裏金」として還流する仕組みを詳細に語りました。
松本氏によれば、還流額やノルマを一覧表にまとめ、当時の会長に示して了承を得たうえで議員側に返金を行っていたといいます。2019年に会計責任者に就任した際、前任者からは「オーバー分はそのまま返せばよい」「収支報告書に書かなくても慣例だ」と説明を受けました。これにより、政治資金収支報告書に記載されない資金の流れが、派閥内で事実上の制度として定着していた実態が明らかになったのです。
領収書不要という慣習
さらに証言では、返金時に領収書を求めない慣行があったことも明かされました。議員側には「受取書」という備忘録的な書類を書かせるだけで、正式な領収書を発行しなかったとされます。これは資金の透明性を損ない、第三者による追跡を困難にする仕組みでした。
新人議員には先輩や秘書が「収支報告書に記載しなくていい」と教え、松本氏自身も「従来そうしてきた」と伝えたことがあると証言しました。こうした文化が派閥全体に浸透していたことは、裏金づくりが単なる一部の行為でなく、組織的に維持されてきた可能性を示します。
派閥幹部の責任と批判
松本氏の証言によると、会長の了承なく還流が行われることはなく、派閥のトップが関与していたと読み取れます。2019年当時の会長は細田博之=元官房長官であり、歴代幹部がこの仕組みに黙認的だったとみられます。
政治資金オンブズマン代表の上脇博之=神戸学院大学教授は、「派閥幹部の了承なしに返金はできない。収支報告書に記載しないことは議員側にも徹底されていた。組織的裏金づくりで『知らなかった』は通用しない」と批判。さらに「大半の議員が起訴されなかったこと自体が問題だ」と司法対応の甘さを指摘しました。
国民の信頼と制度の歪み
今回の証言は、政治資金パーティーを通じた「裏金化」が派閥単位でシステム化されていたことを示しています。収支報告書に反映されない金銭の流れは、政治資金規正法の根幹を揺るがす行為です。
政治資金に透明性が欠ければ、国民は政治の公正さを信じられません。さらに、議員多数が刑事責任を免れている現状は、政治と司法への不信を一層深めています。裏金を温存する文化を断ち切るためには、制度改革と厳格な法適用が避けられない局面を迎えています。