2025-09-11 コメント投稿する ▼
旧安倍派裏金事件 大野元参院議員が初公判で無罪主張 検察は「私的流用」と指摘
検察側は冒頭陳述で、大野被告が旧安倍派から受け取った資金を「収支報告書に記載しないことを理解していた」と断定。 旧安倍派全体の訂正収支報告書では2020年から22年までの不記載総額が4億3588万円に達している。 資金管理団体「泰士会」などの収支報告書作成は秘書任せであり、被告本人が記載を確認していなかったと主張した。
旧安倍派裏金事件 初公判で焦点に
自民党最大派閥だった旧安倍派(清和政策研究会)の裏金事件をめぐり、政治資金規正法違反(虚偽記載)罪に問われた大野泰正元参院議員(66)と元政策秘書の岩田佳子被告(62)の初公判が10日、東京地裁で開かれた。検察側は「ノルマ超過分のパーティー収入を手渡しし、受取書を発行させた」と指摘し、飲食費やクレジットカードの支払いに流用された事実を強調した。一方で大野被告は「虚偽記載の共謀は一切していない」と全面否認し、無罪を主張した。
事件の端緒は「しんぶん赤旗」日曜版の報道にあり、国会議員4人を含む12人が立件される事態に発展した。議員本人が法廷で争うのは今回が初めてであり、世論の関心は高まっている。
「裏金を預かり金と強弁するのは苦しい」
「無罪主張よりも国民への説明責任を果たすべきだ」
「記載しないことを理解していた証拠があるなら悪質」
「秘書任せで知らなかったは通用しない」
「派閥ぐるみの不正を一部だけ裁くのは不公平だ」
検察側の主張と資金の流れ
検察側は冒頭陳述で、大野被告が旧安倍派から受け取った資金を「収支報告書に記載しないことを理解していた」と断定。小口現金として事務所運営に使い、自身の口座へ移して私的支出に充てたとした。さらに秘書が送った無料通信アプリのメッセージを証拠提出し「議員も含めて確認していた」と主張した。
不記載額は2018年から2022年までの5年間で計約5100万円に及び、議員個人では最多規模だった。旧安倍派全体の訂正収支報告書では2020年から22年までの不記載総額が4億3588万円に達している。
弁護側の反論
大野被告の弁護士は「受け取った資金は返還可能な預かり金に過ぎない」と説明。資金管理団体「泰士会」などの収支報告書作成は秘書任せであり、被告本人が記載を確認していなかったと主張した。しかし、検察側はこれを否定し、共謀関与を立証する姿勢を示している。
他議員の処分と不公平感
旧安倍派の裏金不記載をめぐっては、池田佳隆元衆院議員が約4800万円、谷川弥一元衆院議員が約4300万円の不記載で立件された。さらに堀井学元衆院議員は、香典配布に裏金が使われた疑いで略式起訴された。旧二階派(志帥会)でも計3億8000万円の不記載が判明し、会計責任者が有罪判決を受けた。
それでも、自民党の内部調査で判明した「80人以上の議員の不記載」については、派閥幹部を含む大半の議員が立件を免れており、処分の不公平さが世論の批判を招いている。
自民党の信頼を揺るがす裏金問題
今回の初公判は、旧安倍派裏金事件が個別議員の責任にとどまるのか、それとも派閥全体、さらには自民党全体の構造的問題として問われるのかが焦点だ。裏金を「預かり金」と主張して正当化しようとする態度は、政治資金の透明性を求める国民感情とかけ離れている。
政治資金規正法の限界や適用の不平等さも改めて露呈しており、政党と政治家の説明責任が強く問われている。与党の一角を担う自民党にとって、この裁判の行方は党の信頼回復に直結する重大な分岐点となる。