2025-08-01 コメント投稿する ▼
大阪府が高齢者のATM通話を禁止 条例で詐欺防止へ 吉村知事「安心の街に」
高齢者のATM通話を禁止 特殊詐欺防止へ大阪府が改正条例施行
吉村知事が「通話禁止」条例をPR ATM詐欺の根絶目指す
高齢者を狙った特殊詐欺の被害が急増する中、大阪府は8月1日から施行された改正条例により、65歳以上の高齢者がATM操作中に携帯電話で通話することを禁止した。この日、吉村洋文知事らがJR大阪駅前で啓発イベントを行い、新たな対策への理解と協力を呼びかけた。
今回の条例改正は、詐欺犯が被害者に通話で指示しながらATM操作をさせ、現金を振り込ませる手口に対応するもので、全国的にも注目されている。吉村知事は「特殊詐欺は人の心と資産を奪う極めて悪質な犯罪。一人ひとりの注意が被害を防ぐ鍵です」と力を込めた。
また、条例では10月以降、過去3年間ATM振込をしていない70歳以上の高齢者を対象に、1日の振込上限を10万円とする規定も盛り込まれた。これは本人の意思に反して大金を振り込まされるリスクを低減する狙いがある。
「通話禁止って大げさかと思ったけど、母も一度怪しい電話を受けてたから納得」
「ATM操作中に携帯って、よく考えたら危ない行動だった」
「おばあちゃんにこのルールをちゃんと伝えなきゃ」
「吉村さんの動き早い。こういう地に足ついた政策もっとやってほしい」
「安心してATM使えるようになってほしい」
市民からは条例の目的に理解を示す声が多く、高齢者本人だけでなく家族による注意喚起も広がっている。
ご当地アイドルやセレッソ大阪も協力 啓発に一体感
同日のイベントには大阪府警の岩下剛本部長のほか、サッカーJ1クラブ・セレッソ大阪の森島寛晃会長、そして平均年齢70歳を超えるご当地アイドルグループ「オバチャーン」も登場。寸劇で条例の内容や詐欺の手口をわかりやすく紹介し、通行人の関心を集めた。
府警とセレッソ大阪は連携し、特殊詐欺の被害防止に貢献した人への感謝として、ホームゲームのペアチケット(50組100人分)を贈ると発表。地域のスポーツクラブや高齢者団体が一丸となった啓発活動が展開されている。
こうした啓発活動は、単なる条例施行にとどまらず、地域全体で「だまされない」「だまさせない」という意識を醸成するための重要な一歩となる。
被害額は半年で50億円 55%が高齢者
大阪府警によると、2025年上半期(1〜6月)の特殊詐欺認知件数は1,626件、被害総額は約50億円にのぼる。これは前年同期比でほぼ2倍という深刻な数字で、被害者の約55%が65歳以上の高齢者だった。
特に「還付金詐欺」や「オレオレ詐欺」「キャッシュカードすり替え詐欺」など、ATM操作を伴う手口が依然として多く、電話越しに“指示役”がついているケースが後を絶たない。
今回の条例施行は、そうした具体的な手口に対し「通話禁止」「振込制限」という物理的・制度的なブレーキをかける意義ある一手といえる。
ルールだけでなく「声かけ」も防止のカギ
条例の導入だけでは被害は防げない。何より重要なのは、日常生活の中での「気づき」や「声かけ」だ。ATMで高齢者が電話をしながら操作していたら、店員や通行人がさりげなく声をかける、金融機関の職員が異変に気づいて話しかける――そうした行動が何件もの被害を未然に防いできた。
吉村知事も「制度だけでなく、みんなで守る社会の目が必要」と述べ、府民に対して周囲への思いやりある行動を求めた。高齢者を守るのは条例や警察だけではない。身近な家族や地域社会が支えることこそ、特殊詐欺を根絶する力になる。