2025-07-28 コメント投稿する ▼
咲洲庁舎に新ホテル、アベスト社が運営へ 賃料滞納の過去を乗り越え再スタート
咲洲庁舎の新ホテルにアベスト社 滞納撤退の過去を経て、今年度中に一部開業へ
咲洲庁舎ホテル、再始動へ 新たな事業者は神戸のアベスト社
大阪府は7月28日、府咲洲庁舎(大阪市住之江区)のホテルフロアについて、新たな事業者として「アベストコーポレーション」(神戸市)を選定したと発表した。同社はすでに全国22カ所でホテルを運営しており、信頼性と実績を踏まえての決定となった。府は今年度中に一部フロアでの先行開業を予定しており、府民や観光客からの期待が高まっている。
貸し出されるのは庁舎の7~17階部分で、貸付期間は15年間。府は同社に対し、月額およそ6,000万円で貸し出す予定で、今後3カ月以内に定期建物賃貸借契約を締結する方針だ。
この場所ではかつて「さきしまコスモタワーホテル」が営業していたが、新型コロナウイルスの影響などを受けて経営が悪化。令和2年には賃料や管理費を滞納し、大阪府が契約を解除する事態に陥っていた。賃料は当時、月額約3,500万円とされていた。
再出発の背景に、府の収益回復とにぎわい創出
今回の再開業計画には、長年にわたり“空きフロア”状態となっていた咲洲庁舎の有効活用という課題がある。咲洲庁舎は地上55階建ての高層庁舎で、府の南港プロジェクトの中核施設として整備されたが、長らく“負の遺産”とも言われてきた。
府としては、全国展開するホテル運営会社の誘致によって、安定した賃料収入を得つつ、南港エリアに新たな集客拠点を設けたい考えだ。インバウンド観光や大阪・関西万博を見据えた都市再生の一環としても、今回の開業は大きな意味を持つ。
府民・利用者からは期待と警戒の声
過去のトラブルを踏まえ、再びの失敗を懸念する声も一部にはあるが、現時点では歓迎ムードが優勢だ。SNS上には府民や宿泊利用者のリアルな声があふれている。
「やっと動いたか。もったいない立地だった」
「信頼できる運営会社みたいで安心した」
「月6,000万の賃料ってすごい。でもちゃんと続いてほしい」
「また撤退とかにならないことを祈る」
「万博までに整備間に合ってよかった」
かつての撤退劇によって、咲洲庁舎は“テナント空洞化”の象徴のように語られることもあった。だが今回の再スタートにより、再び市民の目がこの建物に集まり始めている。
今度こそ「継続的な運営」を実現できるか
今回契約を結ぶ予定のアベストコーポレーションは、神戸を拠点としながらも全国にホテル展開を進めてきた。関西圏での実績も豊富で、府は「安定した事業計画と運営能力」を重視したとしている。
月額賃料は前回の約1.7倍となっており、府としてもより厳格な契約条件のもとでリスク管理を強化する方針とみられる。大阪府の担当者は「前回の失敗を繰り返さないよう、開業後の状況も注視しながら連携を深めていきたい」と述べている。
かつての失敗をどう乗り越え、府民の信頼を回復できるのか。咲洲庁舎のホテル事業は、新たな一歩を踏み出すことになる。