2025-06-15 コメント投稿する ▼
維新が「飲み食いルール」緩和を検討 政治家会合の上限額1万円で改革後退か
政治家の「飲み食い」どこまで許される?
日本維新の会がこれまで厳格に設けてきた「飲み食いルール」が、見直しの時を迎えている。15日、同党の吉村洋文代表は、政治家同士の飲食にかかる費用の党内上限額を、現在の5,000円から1万円に引き上げる方向で検討する意向を示した。これは、党内ガバナンス委員会が提出した中間報告に基づくもので、政治資金の透明性確保を前提としつつ、現実的な運用とのバランスを模索する動きでもある。
「政治家の飲み会にいくら使っていいのか」という問題は、国民の政治不信と直結するセンシティブなテーマだ。昨年、吉村氏が代表選で「飲み食い政治をやめよう」と強調し、党内で上限5,000円という独自ルールを導入したことは、改革派としての姿勢を示す象徴でもあった。しかし、それから半年も経たないうちに「厳しすぎる」との声が党内から噴出し、方針転換を迫られた形だ。
1万円ルールの根拠は「国家公務員基準」
見直しの背景には、党ガバナンス委員会(委員長・竹中平蔵名誉教授)による中間報告の内容がある。報告では、「政治活動に関係のある飲食であっても、一定額以上の支出がある場合には報告義務を課し、第三者による妥当性のチェックを可能にする」制度の構築が提言された。
その額として設定されたのが「1万円」だ。これは民間企業の交際費における税務上の除外基準や、国家公務員が利害関係者と会食する際に必要とされる届け出義務額を参照したもの。つまり「社会的妥当性がある金額」として、1万円という水準が導かれたわけだ。
吉村代表は記者団に対し、「報告を受けて、早速ルールの見直しに入る」と明言。事実上、5,000円上限は撤回される方向で動き始めた。
そもそも「政治家の飲み食い」は必要か?
そもそも、政治家同士の会合において飲食が必要不可欠なのかという根本的な問いもある。もちろん、意見交換や党内調整、政策協議などが非公式な場で行われるのは現実として否定できない。しかし、「飲み食い」にかこつけた不透明な支出や、政治資金の私的流用疑惑が多発してきた過去を思えば、国民の目は決して甘くはない。
特に、コロナ禍や物価高騰で家計が苦しい状況下、「政治家だけが優遇されている」という不信感は拭いきれない。飲食代に1万円もかけられる余裕がある政治家が、果たして本当に庶民の暮らしを理解しているのか、という疑念は根強い。
X(旧Twitter)ではこうした声も上がっている。
「飲み会に1万円使う前に、国民の減税を先に考えてくれ」
「政治家同士の会合なら公民館でもファミレスでも十分じゃないの?」
「スーツ着たおじさんたちが高級店で会食して、庶民感覚を語るなよ」
「1万円でも甘い。むしろ禁止にすれば透明性も上がる」
「飲み食いの金額じゃなくて、そもそも誰と何を話してるかが重要でしょ」
本当に求められる政治改革とは何か
今回の見直しが示しているのは、「改革疲れ」の兆しとも言える。維新の売りは、しがらみにとらわれない政治と徹底した情報公開だったはずだ。にもかかわらず、内部の「現場の声」や「柔軟な対応」といった言葉を盾に、かつて自ら掲げた厳格ルールを緩めるのは、自己矛盾にも映る。
本当に必要な政治改革とは、飲み食いの金額を操作することではない。政策議論の透明性、税金の使い道の説明責任、そして減税による実質的な経済支援こそが、今の政治に求められている本質だ。
この国の財政が逼迫する中、国民には負担増、政治家には「交際費1万円」という構図が常態化してよいはずがない。まずは「政治家が自らを律する」ことが最低限の前提であり、飲食ルールの緩和がそれに逆行するようでは、維新の掲げる改革も絵に描いた餅に終わりかねない。