2025-05-05 コメント投稿する ▼
大阪公立大学、秋入学と英語公用語で世界200位目指す
大阪公立大、国際競争力を目指し秋入学と英語公用語を検討
大阪府立大学と大阪市立大学が統合して誕生した「大阪公立大学」が、開学から3年を迎えた。同大学はその規模と志願者数で国公立大学として日本最大規模となり、教育と研究の両面で国内外から注目を集めている。2027年度から大学院全研究科で秋入学を導入し、さらに英語を学内の公用語とすることも検討中だ。これらは世界大学ランキング200位入りを目指す「国際化」の一環であり、学生のグローバルな視点を養うことを目的としている。
統合により、大阪公立大は工学、医学、獣医学、経済学など多様な分野をカバーする学部体制を整え、学生は幅広い選択肢を持つことができるようになった。2022年には大阪国際感染症研究センターを設立し、医療分野を中心に経済学や社会心理学など異なる分野を横断した研究も進められている。森之宮キャンパスも新設され、約6,000人の学生と教員が新たに集う場として期待されている。
しかし、国際化に向けた取り組みには多くの課題が残る。秋入学は企業の採用時期や他大学とのカレンダー調整が必要で、学内での理解も求められる。また、英語公用語化については、学生や教職員の英語力にばらつきがある中、どこまで効果的に運用できるかが問われている。吉村洋文知事は「日本の大学で英語が公用語の大学が一つあってもいい」と前向きな姿勢を示しているが、その実現には教員の負担や教育の質の確保といった現実的な問題もある。
大阪公立大の国際化は、国内の大学統合再編の流れの一環でもある。東京工業大学と東京医科歯科大学が統合して誕生した「東京科学大学」や、北海道国立大学機構など、全国で進む大学統合は、教育と研究の質向上や経営効率化を図る試みだ。文部科学省も大学の統合や定員規模の適正化を促しており、大阪公立大の取り組みはそのモデルケースとも言える。
桜木弘之学長は「国際共同研究や英語で授業を行うだけが国際化ではない。グローバルな視点で物事を判断できる人材を育てるための大学にしたい」と意気込んでいる。日本国内で進む大学再編の中で、大阪公立大はその先駆けとなることが期待されている。