2025-04-21 コメント: 2件 ▼
吉村知事「外国人の消費税免税は廃止を」 高校無償化の財源に活用と提言
吉村知事「外国人の消費税免税は廃止を」 高校無償化の財源に活用を提案
大阪府の吉村洋文知事が4月21日、訪日外国人への消費税免税制度について「もう見直す時期だ」との考えを示した。海外からの旅行者が大幅に増えるなか、「すでに免税をやめた国もある。日本も廃止すべきだ」と述べ、国に対して制度見直しを求める姿勢を明確にした。
府庁で記者団の取材に応じた吉村知事は、「外国人旅行者にも、日本人と同じように消費税を負担してもらうのが筋ではないか」と指摘。免税をやめた場合、国全体で数千億円規模の税収増が見込まれ、「それを使えば、高校授業料の無償化や小中学校の給食費の無償化に十分回せる」と述べ、教育政策への転用を提案した。
制度の見直しを求める理由
- 訪日外国人の増加により、消費税免税制度の恩恵が膨らんでいる
- 制度を維持することで日本人との間に不公平感が生じかねない
- 消費税収を教育無償化の財源に回せば、国民全体の利益につながる
吉村知事は、観光業界への影響についても言及。「確かに一部では反発が出るかもしれないが、日本の観光資源は世界的に見ても魅力がある。消費税がかかるからといって旅行を取りやめる人は少ないだろう」と述べ、制度の見直しによるインバウンドの大幅な減少は起きにくいと見ている。
観光税検討との関連
大阪府では現在、オーバーツーリズム対策として訪日客に課す「徴収金制度(いわゆる観光税)」の導入をめぐり、有識者らを交えた調査検討会議が進行中。しかし、日本が締結している租税条約には「相手国の国民と自国民を差別してはならない」といった規定があり、導入のハードルは高い。吉村知事も「専門家からは『条約上難しいのでは』との意見が出ている」と説明し、慎重な対応が求められるとの認識を示した。
一方、消費税免税制度については「租税条約には直接関係しない」として、より現実的な選択肢として提案している。
吉村知事の発言は、外国人観光客の増加がもたらす恩恵と負担のバランスをどう取るかという論点を浮き彫りにした。免税制度はこれまで観光業の促進に一定の役割を果たしてきたが、国民全体に恩恵が及ぶかたちでの見直しを求める声も徐々に強まっている。
観光と税制、そして教育政策のつながりが問われる今、国がどう応えるのかが注目される。