2025-04-09 コメント投稿する ▼
維新・吉村氏、食料品の消費税ゼロ提案 物価高対策で2年限定の減税を主張
アメリカが日本などの国に対して一律に高い関税を課す「相互関税」は、輸入物の価格を押し上げるだけでなく、日本経済全体に大きな影響を与える恐れがある。吉村氏は「スタグフレーションのような状況が現実味を帯びてきた」と危機感を示し、「補助金ではなく、家計に直接恩恵がある減税が望ましい」と述べた。
消費税ゼロの対象は食料品に限定し、期間は2年間。定額減税の終了や増税に伴って見込まれる税収増を使えば、約8兆円の財源を確保できると見込んでいる。この2年間で、賃上げの後押しや社会保障制度の改革を進め、保険料の引き下げなどにも取り組みたいとしている。
加えて、ガソリンの暫定税率の廃止や、コメの生産支援強化もセットで提言する構えだ。これらをまとめて、維新の経済対策として政府に正式に提出する方針だという。
“相互関税”が引き起こす日本への波紋
今回の「相互関税」は、トランプ前大統領が再びホワイトハウスを目指す中で掲げている経済政策の柱だ。実際に発動された場合、日本からの輸出品には24%もの追加関税が課される可能性があり、輸出企業にとっては大打撃となる。
アメリカ国内でも、これらの関税が物価を押し上げ、1世帯あたり年3800ドルの負担増になるとの試算も出ている。日本にとっても対岸の火事ではない。円安も進み、輸入コストは一層上昇しており、エネルギーや食料など生活に直結する品目の価格高騰が避けられない状況にある。
日銀の植田総裁もこうした動きを注視しており、金融政策の見直しが必要になる可能性を示唆している。
実現へのハードルと期待
吉村氏の提案は家計支援の即効性が期待されるが、財務省や与党の動向、そして他の野党の反応次第では実現には高いハードルがあるのも事実だ。そもそも消費税は社会保障の安定財源として位置付けられており、税率を一時的にでも下げることには慎重な声も根強い。
一方で、スタグフレーションのような複合的な経済危機に対しては、これまでの延長線上の政策だけでは乗り切れないという声もある。維新はこうした提案を通じて、「即効性」と「改革姿勢」の両方をアピールしたい考えだ。
吉村氏の提案は、単なる減税論ではなく、物価高と戦う現実的な選択肢として、今後の政策論争の焦点となりそうだ。政府や他党がどう応じるか、また国民の受け止め方がどう動くか、注目が集まっている。