2025-12-03 コメント投稿する ▼
衆院議員定数削減で維新・吉村代表が「ゾンビ議員」批判、自身も比例復活経験者
小選挙区で有権者から「ノー」を突きつけられた候補者が比例代表で復活当選することについて、政治制度の根本的な見直しを求める声が高まっています。 現在の衆院選では小選挙区289、比例代表176の合計465議席ですが、小選挙区で敗れても所属する政党が比例代表で得た議席で「復活当選」することが可能な制度となっています。
民意を無視した「ゾンビ復活」制度 維新・吉村代表の比例削減案に国民の声集まる
自民党と日本維新の会は2025年12月1日、衆院議員の定数削減について小選挙区25、比例代表20を軸に議論することで合意しました。この背景で注目されているのが、吉村洋文代表が強く批判する「ゾンビ議員」と呼ばれる比例復活制度です。小選挙区で有権者から「ノー」を突きつけられた候補者が比例代表で復活当選することについて、政治制度の根本的な見直しを求める声が高まっています。
比例復活制度の実態と問題点
吉村代表は「比例代表のところなんて、小選挙区で落選した人が、落選しているのに当選してくる。ゾンビ議員いっぱい作るような制度、ほんまにいいんですか」と制度の問題性を指摘しています。現在の衆院選では小選挙区289、比例代表176の合計465議席ですが、小選挙区で敗れても所属する政党が比例代表で得た議席で「復活当選」することが可能な制度となっています。
「小選挙区で落ちたのになんで議員になってるの?」
「選挙区の人が選ばなかった人が国会議員って変だよね」
「税金の無駄遣いだから議員減らしてほしい」
「比例復活なんて制度おかしいでしょ」
「地元で負けた人に何ができるの?」
選挙制度上は投票が同時に行われる小選挙区制と比例代表制は並立する対等の制度とされていますが、実際には小選挙区の結果が重視される傾向にあります。小選挙区で2位だった候補者が落選して3位以下だった候補者が比例復活することもあり、制度の問題点が指摘されています。
維新自身も「ゾンビ議員」だらけの現実
皮肉なことに、2024年衆院選で、維新の会から比例で当選した15名全員が小選挙区で重複立候補しており、ゾンビ復活していることが判明しています。維新の衆院議員のうち3分の1にあたる12人がゾンビ議員という状況で、吉村代表自身も2014年の衆院選でゾンビ復活組でした。
この矛盾について、過去3度の選挙ですべて比例復活した三木けえ議員は「政策実現のためなら、自分たちの席がなくなってもいいという覚悟」と説明していますが、制度批判をする側が最もその制度の恩恵を受けているという実態が浮き彫りになっています。
削減案の経済効果と政治的意図
50人の議員を削減した場合、年間およそ30億円から35億円程度のコストカットが見込まれると試算されています。しかし吉村代表は「コストっていうのが本質ではない。政治姿勢を示す。改革姿勢、政治姿勢です」と説明し、経済効果よりも政治改革のアピールを重視していることを明らかにしています。
一方で専門家からは、「衆議院の議員定数の1割削減、それも比例から」という案を日本維新の会が提示したのは党利党略と言われてもしかたないとの指摘もあります。維新は小選挙区で強い大阪が地盤であり、比例代表からの選出が他党より少ないため、自らの身をあまり切らずに改革をアピールできる構図が見えています。
世論の反応と今後の展望
テレビ東京と日本経済新聞社が実施した10月の世論調査で「比例代表を中心に削減すべきだ」が53%、「小選挙区を中心に削減すべきだ」が19%となり、国民の間でも比例削減を支持する声が多数を占めています。「議員定数1割削減」を優先すべきという電話では約50%、ネット調査では約40%で多数を占めており、国民の間では議員定数削減への期待が高いことがうかがえます。
しかし立憲・尾辻かな子衆院議員は「51対49という場合に、49の民意を一体誰がどういうふうにして担保するのか。全部が51の1政党だけになってしまったら、そっちに期待した皆さんの声が全く届かなくなる」と反論しており、少数意見の切り捨てへの懸念も示されています。
自民、維新は法案の施行から1年以内に詳細の結論を出せなければ、削減対象をすべて比例とする文言を法案に盛り込むべきとの方針で、今後の動向が注目されます。比例復活制度の見直しは単なる定数削減を超えて、民主主義の根幹である民意の反映方法を問う重要な課題となっています。