2025-11-23 コメント投稿する ▼
衆院議員定数削減への支持86%
特に問題となっているのは、多くの地方議員の活動が住民に見えないという点です。 住民から「議員の活動が住民に伝わっていない」という指摘が相次いでおり、活動の見える化が急務となっています。 地方議会の議員定数削減は財政負担軽減の観点からも議論されていますが、その効果は限定的です。 一方で、議員定数削減には民主主義の観点から懸念も示されています。
産経新聞社とFNNが2025年11月22、23日に実施した世論調査で、衆院議員定数削減について国民の多数が支持していることが明らかになりました。小選挙区と比例代表の両方を削減すべきだと回答した人が45.1%で最多となり、削減自体には86%が賛成していることがわかったのです。この圧倒的な支持率は、国民の政治に対する厳しい視線を物語っています。
自民と維新の連立合意が後押し
この世論調査結果は、自民党と日本維新の会の連立合意を追い風としています。両党は衆院議員定数の1割削減を連立政権の柱として掲げており、現在の465議席から420議席程度まで減らすことを目標としているのです。維新側は「議論を加速してほしい」と自民党に申し入れており、今国会への法案提出を目指しています。
国民の中にも議員数が多すぎるという認識が広がっており、税金の無駄遣いを削減すべきだという声が高まっています。特に自民党の裏金問題で政治不信が深刻化する中、議員定数削減は政治改革の象徴的な施策として注目を集めているのです。
「議員の数が多すぎる。もっと少数精鋭でやってほしい」
「税金で養われているんだから、無駄な議員は減らして当然」
「議員定数削減は民意の反映。これこそ政治改革だ」
「衆議院だけでなく地方議会も削減すべき時期が来ている」
「何をしているかわからない議員が多すぎる現状を変えるべき」
しかし、この議論で忘れてはならないのが地方議会の実態です。衆議院の定数削減が注目される一方で、全国の地方議会でも同様の問題が深刻化しているのです。
地方議会の深刻な実態
全国には約31,555人の地方議員が存在していますが、その活動実態には大きな疑問符がついています。専門家の指摘によると、地方議会では首長提案の議案が99.7%以上可決されており、議会の監視機能が十分に働いていない状況が続いています。これは議会が首長の追認機関と化していることを意味します。
特に問題となっているのは、多くの地方議員の活動が住民に見えないという点です。年間の議会開催日数は市議会で89.4日、町村議会で42.6日となっており、残りの期間に何をしているのかが不透明なケースが多いのです。住民から「議員の活動が住民に伝わっていない」という指摘が相次いでおり、活動の見える化が急務となっています。
また、地方議会では無投票当選が常態化しており、2023年の統一地方選挙では町村長で56.0%、町村議で30.5%が無投票当選でした。競争原理が働かない状況で、議員の質の向上は期待できません。NHKのアンケートでは、約7割の地方議員が「なぜこの人が、という同僚議員がいる」と回答しており、議員の資質に疑問を持つ声が広がっています。
さらに深刻なのは議員の高齢化と多様性の欠如です。市議会議員の平均年齢は59.2歳、町村議員は64.6歳となっており、女性議員の割合は17.8%に過ぎません。これでは多様な民意の反映は困難です。
なり手不足が質の低下を招く
地方議会の問題は議員のなり手不足にも起因しています。人材の固定化による地方議会の硬直化や、地方議員のモチベーションや質の低下が懸念されています。特に小規模な自治体では、議員の候補者を探すのに苦労するケースが増えており、「誰でもいいから立候補してほしい」という状況も生まれています。
住民からは「議会でふんぞり返って座っている議員や一般質問時にポケットに手をつっこんで偉そうな態度の議員はいらない」「仕事していない議員はいらない」といった厳しい声が上がっています。このような状況では、議員定数を維持する意味がないという意見が出るのも当然です。
財政負担軽減の効果は限定的
地方議会の議員定数削減は財政負担軽減の観点からも議論されていますが、その効果は限定的です。議会費は自治体歳出全体の1%程度に過ぎず、議員数を減らしても大幅な財政改善は期待できません。むしろ、99%を占める執行機関の歳出にメスを入れる方が効果的だという指摘もあります。
一方で、議員定数削減には民主主義の観点から懸念も示されています。議員数が減ることで多様な民意の反映が困難になり、少数意見が切り捨てられるリスクがあるのです。また、地方議会では議員定数削減後に若者や女性の立候補が減る傾向も報告されており、議会の多様性確保が課題となっています。
改革の本質を見極める必要性
重要なのは、単純に議員数を減らすことではなく、議員の質の向上と活動の透明性確保です。地方議員には住民の声を行政に反映させる重要な役割があるにもかかわらず、その機能が十分に果たされていない現状があります。
専門家は「議員定数を削減した総括をする必要がある」と指摘しており、削減が住民の福祉の増進につながっているかを検証すべきだとしています。削減ありきではなく、議会の機能向上を目指した議論が必要です。
議員定数削減の議論は確かに必要ですが、それと同時に議員の職務の明確化、活動の見える化、住民との対話促進などの制度改革も不可欠です。数を減らすだけでは根本的な解決にはならず、むしろ民主主義の基盤を弱体化させる恐れもあります。
また、地方議会改革では報酬のあり方も見直すべきです。現在の報酬水準では生活が困難な地域も多く、優秀な人材の確保が難しくなっています。適正な報酬設定により、質の高い議員を確保する仕組みづくりが急務です。
国民が求めているのは、税金を有効活用し、真に住民のために働く議員です。衆院定数削減の議論と併せて、地方議会改革についても本格的な検討を始める時期が来ているのではないでしょうか。地方から始まる真の政治改革こそが、国民の政治不信を解消する鍵となるはずです。