2025-11-21 コメント投稿する ▼
大阪府咲洲庁舎リブマックスと15年契約月額5千万円で12月開業予定
大阪府は2025年11月21日、府庁咲洲(さきしま)庁舎(大阪市住之江区)内の「さきしまコスモタワーホテル」跡に入る新たなホテル事業者として、「リブ・マックス」(東京都港区)と15年間の賃貸借契約を結んだと発表しました。 新たなホテルの名称は「リブマックスさきしまコスモタワーホテル」で、12月10日のオープンを予定しています。
賃料大幅アップで月額5千万円
府は同社に、庁舎の7~17階部分を月額5千万円で貸し出します。これは賃料を滞納し撤退したさきしまコスモタワーホテルへの賃料月額約3500万円を約1500万円上回る設定です。15年間の長期契約により、府側は安定した賃料収入を確保できる見込みです。
咲洲庁舎は高さ256メートル、地上55階建ての超高層ビルで、旧名称は「大阪ワールドトレードセンタービルディング」でした。第三セクターの経営難により2010年に大阪府が約85億円で取得し、現在は「さきしまコスモタワー」の愛称で親しまれています。
繰り上がりで決定したリブマックス
府は同ホテルの撤退後、2025年5月に新たな入居事業者を募集しました。当初は「アベストコーポレーション」(神戸市)に決まりましたが、賃料の発生時期について交渉が折り合わず辞退したため、募集時に次点だったリブ・マックスが繰り上がる形で決定しました。
リブ・マックスは1998年に兵庫県芦屋市で創業し、現在は東京都港区赤坂に本社を置く不動産企業です。全国195棟のホテルやリゾート施設を展開し、「事務所ビル→ホテル」といった用途変更など、建物再生事業に積極的に取り組んでいることで知られています。
前ホテルの巨額滞納問題
さきしまコスモタワーホテルは2019年1月に開業しましたが、深刻な賃料滞納問題に陥りました。同ホテルを運営していた企業は2019年10月分から2020年7月分まで賃料を支払わず、滞納金は総額で約3億2千万円に達しました。
大阪府は2020年7月に賃貸借契約を解除しましたが、ホテル側は運営を継続し、滞納額は最終的に約26億円まで膨らみました。ホテル側は「エレベーターの騒音が基準値を超え、約4億円の改修費用が必要になった」として賃料支払いを拒否していました。
2024年8月には強制執行を逃れるために資産を隠したとして、運営会社の社長らが強制執行妨害目的財産損壊容疑で逮捕される事態となりました。ホテルは2024年10月31日をもって閉館し、開発会社は2024年12月24日に負債約72億円で破産開始決定を受けました。
ホテル業界関係者の声
新ホテル開業に向けて、業界関係者からは様々な反応が寄せられています。
「リブマックスは実績があるから今度は大丈夫だと思う、前のホテルがひどすぎた」
「月5千万円の賃料って高すぎない?本当にペイできるのか心配」
「大阪ベイエリアの活性化につながれば良いが、また失敗したら大変」
「USJや海遊館に近いから立地は悪くない、運営次第でしょう」
「前の件で大阪府のホテル誘致能力に疑問を感じていたが、今度は成功してほしい」
新ホテルのコンセプトと展開
新しい「リブマックスさきしまコスモタワーホテル」は「都市にいながらリゾートの開放感を」をテーマに掲げています。高層階からの眺望を最大限に生かした開放的なデザインを採用し、ビジネスから観光まで幅広い宿泊ニーズに対応する計画です。
12月10日には第1期として10~17階の計263室がオープン予定で、第2期として7~9階部分に約100室とサウナ施設を増設し、2026年春の全面開業を目指します。最終的には約360室規模のホテルとなる見込みです。
ベイエリア活性化への期待
咲洲エリアは、インテックス大阪やATC(アジア太平洋トレードセンター)など国際会議・展示会の会場を擁するビジネス拠点でありながら、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)や海遊館などへのアクセスにも優れる立地です。
かつて「負の遺産」とも呼ばれた咲洲庁舎ですが、全国で豊富な実績を持つリブマックスグループが新たな息吹を吹き込み、「世界から大阪へ、大阪から世界へ」を掲げて再生に挑みます。海を望む景観と高層階からの夜景が楽しめることから、国内外の旅行者の注目を集めそうです。
前回の失敗を教訓に、大阪府は事業者の財務状況や運営実績をより厳格に審査したとみられます。安定した賃料収入の確保と大阪ベイエリアの活性化という二つの目標達成に向けて、新たなホテル事業の成功が注目されています。