2025-11-18 コメント投稿する ▼
衆院選挙制度協議会で野党が定数削減反対表明自民維新合意の比例50減案に民意切り捨てと強い批判
定数削減問題の発端は、自民党と日本維新の会の連立政権合意にある。 維新の吉村洋文代表は17日の民放番組で「衆院で1割50人くらい削減したい」と発言し、自民党に合意するよう求めている。 現在の衆院定数は465議席で、小選挙区289、比例176となっている。
衆院定数削減で野党が強く反発
自維合意の比例50減案に民意切り捨てと批判、協議会で意見表明
衆院選挙制度協議会が2025年11月18日、与野党各会派による意見表明を行った。自民党と日本維新の会が合意した衆院議員の定数削減を巡り、野党側からは反対、慎重意見が相次ぐ見通しだ。同協議会は、額賀福志郎衆院議長の下に置かれ、今国会での開催は初めてとなる。
維新が「絶対条件」として突きつけた定数削減
定数削減問題の発端は、自民党と日本維新の会の連立政権合意にある。維新の吉村洋文代表は17日の民放番組で「衆院で1割50人くらい削減したい」と発言し、自民党に合意するよう求めている。維新の本当の狙いは比例定数の削減で、吉村氏が「基本衆議院。1割、50人ぐらい削減したい」「僕は(削減するのは)ここ(比例代表)じゃないかと思う」とあけすけに語っている。
現在の衆院定数は465議席で、小選挙区289、比例176となっている。約30年前に現行の小選挙区比例代表並立制が導入された際は500(小選挙区300、比例200)だった衆院定数は現在、戦後最少の465まで減った。衆院の場合、定数465のうち小選挙区が289、比例代表が176あり、仮に、吉村氏がいうように議員定数の1割を削減した場合、比例代表は120台まで削られることになる。
中小政党への深刻な影響が浮き彫り
定数削減の影響について詳細な試算が行われている。衆院定数は小選挙区が289、比例代表が176で、合わせて465。そのうち比例代表を50減の126として、2020年の国勢調査の人口を基に議席配分方式の「アダムズ方式」で11ブロックに振り分けると、ブロックごとの比例定数は2~8減る。
特に中小政党への打撃は深刻だ。この条件で、昨年10月の前回衆院選で各党が得た比例票から比例議席数を再計算すると、議席の減少幅は大政党の方が大きいが、小選挙区を含む全体の議席に占める減少率は中小政党の方が高い。参政党と日本保守党の67%が最大。れいわ新選組33%、維新13%、自民は9%、立民は6%だった。
試算では現在定数176の比例代表を50削減して126にすると仮定し、現行制度で適用される「アダムズ方式」に基づいて定数を配分した結果、減少幅が最大なのは日本保守党で2議席いずれも失う。参政党も3議席から1議席となるという深刻な状況が明らかになった。
野党各党から強い反発の声
SNSでも国民から多様な意見が寄せられている。
「議員を減らせば政治家の身を切る改革になるという発想は単純すぎる」
「中小政党の声が届かなくなるのは民主主義の危機だと思う」
「本当に必要なのは政治家の質の向上であって数を減らすことではない」
「維新の党利党略としか思えない。もっと慎重に議論すべきだ」
「比例代表制度の意味を考えれば、削減は民意の切り捨てになる」
チームみらいの安野貴博氏は「議員定数削減は政治の新陳代謝を悪化させ、むしろ議会への信頼度を落とす可能性がある」として反対の立場を表明している。立憲民主党の幹部は自民と維新が議員定数削減を持ち出すことで「政治とカネの問題から目をそらそうとしているのではないか」と批判している。
民主主義の根幹に関わる重大な問題
自維連立政権が今国会での成立をめざす「衆院議員定数の削減」は、議会制民主主義の根幹に関わる問題であり、国民の民意を切り捨てる暴挙との指摘もある。「身を切る改革」を掲げる維新は、法案提出に至らない場合は連立政権の解消も辞さない構えだとしており、政治的駆け引きの道具にされている側面もある。
小選挙区制は大政党に有利で死票が多いため、中小の政党が議席を得やすい比例代表制を組み合わせて多様な民意をくみ取る。それが現行制度の趣旨だ。しかし、与党は比例代表なら定数を減らしやすいとみているのだろう。安直な定数削減は政治家の身を切る改革どころか、民意の切り捨てになりかねない。
一方、国民民主党の玉木雄一郎代表は17日のBSフジ番組で、関連法案が出れば賛成すると発言した。21日召集の臨時国会冒頭で成立させるべきだと提起したなど、野党内でも意見が分かれている状況だ。
今回の協議会での意見表明を通じて、各党の立場がより明確になることが予想され、今後の国会審議の行方が注目される。減税による国民負担軽減こそが真の政治改革であり、安易な定数削減ではなく政治の質的向上に重点を置くべきである。