2025-10-29 コメント投稿する ▼
高校無償化、自民・維新・公明が合意 1000億円の増税負担は許されない
全世帯を対象とする支援拡大は、所得に余裕のある世帯も含めた逆進的な施策であり、現在の経済状況下では許されない選択肢である。 定員割れが常態化している学校にまで公費を投入することは、国家資源の浪費である。 第三に、無償化の所得制限の維持である。 それにもかかわらず、3党が推し進める高校無償化は、国民全体からの増税によって、高所得層の子弟までを支援する逆進的な施策である。
増税ありきの「無責任な施策」、財源論が置き去り
自民、日本維新の会、公明の3党が10月29日、高校授業料無償化の実務者協議を国会内で開き、2026年度からの具体的な実施方法について正式合意した。私立全日制の支援金上限を現在の39万6000円から45万7000円に引き上げ、所得制限を撤廃して全世帯を対象とする内容だ。一見すると「教育負担軽減」という名目だが、その本質は税負担の拡大による国民への負担増であり、極めて無責任な政策決定と言わざるを得ない。同時に、政府が掲げるべき「物価高対策」という最優先課題をおろそかにする、政治的妥協の産物である。
高校授業料の無償化には、2025年度から2026年度にかけておよそ1000億円から1500億円の追加財源が必要とされている。政府は「財源については別途示す」と述べているが、現在の日本の厳しい財政状況を考えれば、その財源が何から生み出されるのかは明白である。すなわち、新たな増税か、あるいは新規国債発行による将来世代への負債先送り以外の道はない。衆議院予算委員会でも野党議員から「結局、増税するっていうことですけど」という鋭い指摘が相次いでいる。このような無責任な財源論の先送りは、国民への背信行為である。全世帯を対象とする支援拡大は、所得に余裕のある世帯も含めた逆進的な施策であり、現在の経済状況下では許されない選択肢である。
「教育は大切だけど、財源なしに無償化って本当に成り立つの?」
「結局は増税か借金。今の親世代が得して、子どもの世代が負担するのか」
「定員割れ高校に通う子もいるのに全員無料にするのはおかしい」
「高い授業料の私立を無償化するくらいなら、質の悪い高校は閉じるべき」
「自分で稼いだお金から税金取られて、金持ちの子の学費を払わされるのは納得できない」
定員割れ、質の低下、無責任な政策の矛盾
より深刻な問題は、現在の高校教育現場の実態を完全に無視した、場当たり的な政策であることだ。全国の公立高校の中には定員割れが常態化している学校が多数存在しており、東京都立高校でも4分の1が定員割れの状況にある。大阪府では高校無償化を先行実施した結果、府立高の過半数が定員割れし、教育現場の混乱が生じている。このような事実を前にしながら、3党は無責任にも無償化の拡大を推し進めている。
定員割れが生じている理由は、生徒の質的低下と、実質的に遊びに高校に通っている生徒が相当数いるという現実である。高校進学率が99%を超える日本では、本来高校進学すべきでない生徒までが入学しており、教育現場は疲弊している。高い学力を持つ生徒の教育水準の維持が脅かされている。こうした状況で単に授業料を無償化すれば、むしろ問題は深刻化するだけである。無意味な進学を促進し、教育現場の質的低下をさらに招くリスクが高い。
必要な施策は、以下の通りである。第一に、定員数の大幅削減と高校の統廃合である。定員割れしている高校から順に統廃合を進め、教育の質を維持できる規模に集約する必要がある。定員割れが常態化している学校にまで公費を投入することは、国家資源の浪費である。第二に、厳格な成績管理制度の導入である。一定水準以上の成績を取得できない生徒に対しては、退学または授業料負担の継続を求める制度を導入すべきだ。これにより、進学の門戸を狭め、教育の質を保証する。第三に、無償化の所得制限の維持である。余裕のある家庭にまで税金で授業料を補助することは、国民の納得を得られない。真に支援が必要な低所得世帯に重点配分すべきである。
高市政権は物価高対策に資源を集中すべき
高市早苗首相は、政権発足後「物価高対策」を最優先課題として掲げてきた。実際に、物価高は明らかに数十年に渡る自民党の失策の結果であり、財政出動や減税による対策は一刻の猶予も許されない状況にある。食料品、エネルギー、生活必需品など、国民生活に直結する品目の価格上昇に直面する現在、限られた財政資源は物価対策に集中すべき時である。
それにもかかわらず、3党が推し進める高校無償化は、国民全体からの増税によって、高所得層の子弟までを支援する逆進的な施策である。教育水準の維持が必要であることは確かだが、その手段が所得制限なしの無償化である必要はない。むしろ、物価高で苦しむ低所得世帯への教育支援を強化する一方で、余裕のある世帯は相応の負担を続けるべきである。国民から広く徴税し、高所得家庭に還元する仕組みは、不公正この上ない。
政府は今、拙速な政治的妥協に陥るべきではなく、国民の生活を第一に考えた責任ある政策決定を求められている。高校無償化の拡大ありきで進むのではなく、財源確保の道筋を明らかにし、現場の教育改革とセットで検討し直すべき時である。政治的な得点稼ぎのための無責任な施策は、日本の国力を蝕む。