2025-10-13 コメント投稿する ▼
公約187億円の税金で“使われない船着場”を建設 「船で行ける万博」は大誤算だった
いずれも「船の玄関口」として整備されましたが、結果は「ただの飾り」になりました。 大阪府、大阪市、国土交通省が関与したこの事業には、「船でアクセスできる万博」という夢洲構想のシンボル的意味がありました。 十三船着場は、淀川を下る観光船と夢洲へ向かう船の乗り換え拠点として整備されました。 こちらも「万博アクセス航路の拠点」として約5億円をかけて整備されました。
187億円の税金が生んだ“使われない船着場”
「船で行ける万博」を掲げた大阪・関西万博。その裏で、187億円の巨額税金が投じられたにもかかわらず、定期航路が一度も就航しないまま閉幕を迎えた船着場が存在します。大阪市淀川区の「十三船着場」と「中之島GATEサウスピア」です。いずれも「船の玄関口」として整備されましたが、結果は「ただの飾り」になりました。
大阪府、大阪市、国土交通省が関与したこの事業には、「船でアクセスできる万博」という夢洲構想のシンボル的意味がありました。しかし、実際には運航事業者が見つからず、行政側の連携不足が露呈しただけに終わりました。現地を訪れると、立派な桟橋だけが無人のまま放置され、風だけが通り抜けています。
構想倒れの十三船着場
十三船着場は、淀川を下る観光船と夢洲へ向かう船の乗り換え拠点として整備されました。総事業費は186億円超。年間30万人の利用を見込み、周辺には屋台村「ミナモ十三」も予定されていました。行政資料には「万博アクセスの新たな玄関口」と記され、国交省や大阪市が連携した“重点プロジェクト”でもありました。
ところが、肝心の定期航路は1便も実現しませんでした。理由は「夢洲側の着岸料が高い」「運航採算が合わない」「河川航行に8時間かかる」などの現実的な問題でした。つまり、行政は実際に船を走らせる企業の意見をまったく聞かず、机上の理想でプロジェクトを進めたのです。
「船会社がいなければ航路は成り立たない」
「誰のためのインフラ整備か」
「事業費186億円はどこに消えたのか」
「万博を口実に予算を通しただけでは」
「現場を知らない行政の象徴だ」
現地では、こうした批判の声が住民から次々に上がっています。
さらに追い打ちをかけたのが行政の調整不足です。屋台村「ミナモ十三」は、河川事務局との協議が完了せず、開業が延期。許可の遅れで契約業者が撤退するなど、混乱が続きました。結局、万博期間中に船も屋台村も動かず、残ったのは整備費だけ。失敗の責任は、誰も取っていません。
5億円の桟橋が“レストランの飾り”に
もう一つの失敗例が、中之島GATEサウスピアです。こちらも「万博アクセス航路の拠点」として約5億円をかけて整備されました。水素船「まほろば」の就航を前提に設計されましたが、実際には想定したサイズの船が接岸できず、万博閉幕前に「就航断念」が正式に発表されました。
桟橋の目の前にはレストランが並び、賑わいを見せていますが、桟橋自体は使われることなく放置されています。地元関係者は「事業費5億円の桟橋オブジェ付きレストラン」と皮肉を口にします。計画段階で設計・運用を行政がすり合わせていれば防げたはずのミスでした。
大阪府も大阪市も、そして国も、こうした事業失敗に関する説明責任を果たしていません。関係機関に問い合わせても「運航事業者の判断」として沈黙を貫いています。民間に責任を押し付け、行政の失策を隠す構図が露骨です。
「防災目的だった」と言い訳するのか
行政関係者の一部からは、「これらの桟橋は防災時の物資輸送にも活用できる」との声も出ています。だが、もともと防災事業として整備したわけではなく、万博のために急造した施設を後付けで「防災」と言い換えているにすぎません。
仮に防災目的に使えるとしても、187億円という費用に見合う合理性があるとは言い難い。使われない船着場、開業できない屋台村、就航できない船。これが「未来志向の万博」の現実です。大阪府も市も、国も沈黙を続けていますが、納税者はその沈黙を見逃しません。
今回の失敗は、行政が「見栄」と「計画ありき」で進めた典型的な公共事業です。現場の実情を無視し、採算性を検証せず、事業効果を誇張した結果、残ったのは無用の桟橋だけ。187億円の税金で「船で行ける万博」を演出したつもりが、実際は「船で行けない万博」になってしまいました。
本来、万博は未来技術や都市ビジョンを示す場であるはずです。その現場が「行政の怠慢と不手際の象徴」になってしまったことを、政治も官僚も重く受け止めるべきです。
この投稿は吉村洋文の公約「2025年大阪・関西万博の成功と大阪府と大阪市の連携強化」に関連する活動情報です。この公約は9点の得点で、公約偏差値35.5、達成率は3%と評価されています。