2025-10-02 コメント: 1件 ▼
維新・吉村洋文が副首都法案で大阪都構想再始動へ 連立入り視野に上機嫌
参議院選挙での支持回復もさることながら、維新が長年掲げてきた**副首都構想/大阪都構想**が、ここへ来て“実現へ”の動きを強めつつあるからである。 維新としては、住民投票という手法を経ず、国政の立法によって都構想を実現させる道を模索しているように見える。 維新内では、連立政権参加を前提とする意見が増えている。
維新・吉村洋文代表 “上機嫌”の背景
日本維新の会代表で大阪府知事の吉村洋文氏が、内外の情勢を理由に“ご満悦”の状態だ。参議院選挙での支持回復もさることながら、維新が長年掲げてきた副首都構想/大阪都構想が、ここへ来て“実現へ”の動きを強めつつあるからである。
吉村氏のご機嫌の理由は二つある。第一は、大阪・関西万博が終盤に盛り上がり、来場者数が急増している点だ。万博協会は9月27日時点で来場者数が2,500万人を超えたと発表しており、吉村氏自身も「予約で入れない状態」「閉幕までに2,800万人余も可能」と語っている。誘致当初から掲げてきた目標「2,820万人」に肉薄する可能性が出てきた点が、彼の自信を刺激している。
第二は、政権“連立入り”の見通しだ。維新内においては、自民・公明との連立政権参加を前提とする声が、かねてからくすぶっていた。参院選後の国会情勢が流動化する中、維新の立ち位置を“与党側入り”と見定める観測が強まっている。
副首都構想と「大阪都構想」再実現の狙い
維新は9月30日、副首都構想を具体化する法案の骨子案を公表した。この案では、「副首都機能整備」には、大都市地域における特別区の設置を要件と位置付けている。これは「大阪都構想(=大阪市を廃して特別区を設け、東京都のような構造に改める構想)」と実質的に紐付く内容だ。
過去に大阪都構想は住民投票で2回否決されている。反対派からは、再挑戦には市民の理解獲得が不可欠との慎重論が根強い。維新としては、住民投票という手法を経ず、国政の立法によって都構想を実現させる道を模索しているように見える。
SNS上でも次のような声が出ている。
「また都構想をやるのかと驚いた」
「副首都と都構想を結びつけるのは無理がある」
「吉村さんはどうしても実現したいのだろう」
「住民投票を無視して法律化するのは乱暴だ」
「大阪ファーストの姿勢が強すぎる」
この法案骨子案には、国が都道府県を「副首都指定」できる制度や、東京一極集中是正、国会バックアップ機能の移設といった要素も盛り込まれている。要件として、政令指定都市と道府県との権限分離(二重行政の解消)が挙げられており、これも都構想の要素と重なる。
連立構想と自民・公明との関係性
維新内では、連立政権参加を前提とする意見が増えている。副首都構想のように国家構造に関わる政策を実現するには、政権側との協調が不可欠との見方が強い。元大阪市長・橋下徹氏も「連立入りして副首都を実現してほしい」とテレビ番組で発言しており、党外からも期待の声が上がっている。
一方、自民党側は総裁選直後を見据えながら連立交渉の準備を進めているとされる。ただし、公明党側には維新との政策衝突を懸念する意見があり、慎重姿勢が聞かれる。維新代表は、公明党の理解を得る必要性を認めつつ、政策実現のための条件交渉を重視したい構えだ。
ただし、記者会見で吉村氏は明確に「現時点で自民との連立は考えていない」と語っている。これは党内外に対する牽制と読み取る向きもある。参院選後の議席構成次第では、維新の選択肢は多様だが、連立参加の判断は慎重な段階にある。
維新の党勢と政治機会の狭間
維新は参議院選挙で一定の議席を確保したが、全国的には支持回復が十分とは言えない結果だった。維新としては、万博成功・副首都構想の具現化・連立交渉成功という三位一体戦略によって、党勢の再興を図ろうとしている。
ただし、都構想を強引に推し進める手法は、住民合意や地域間格差への反発を呼ぶリスクを伴う。大阪以外の地域からは「大阪中心主義」「税金の使い道」が批判される可能性がある。副首都構想を巡る議論が「大阪優遇」に見えるかどうかが、政策的正当性と政治的支持を左右し得る。
吉村代表や維新は、これらリスクを承知のうえで次のステージを狙っているとみられる。連立与党入りという「足場」を得た上で、国政レベルで大阪都構想を法制化し、住民投票の枠から脱した実現を目指す戦略である。