2025-09-29 コメント投稿する ▼
大阪・関西万博クウェート館でカスハラ頻発 警備員負傷も運営改善遅れ
大阪・関西万博で最も人気のあるパビリオンの一つ「クウェート館」で、来場者とスタッフの間に深刻なトラブルが相次いでいる。 予約枠が限られているうえ、通路が狭く設計されているため、列を締め切ると周辺に滞留する人が殺到し、通行の妨げとなっていた。 数日間勤務できなくなった警備員もおり、現場の安全確保が急務となっている。 来場者とスタッフ、来場者同士のトラブルは約210件で、月を追うごとに増加傾向。
人気パビリオン「クウェート館」で混乱とカスハラ
大阪・関西万博で最も人気のあるパビリオンの一つ「クウェート館」で、来場者とスタッフの間に深刻なトラブルが相次いでいる。来場者数が急増した8月以降、列を巡る混乱が常態化し、スタッフに胸を突く、肩を押すなどの暴力行為が発生。警察官が出動する場面もあり、8月下旬には警備員2人が負傷する事故も起きた。
パビリオンは「砂漠の体験型展示」が人気を集め、2時間待ちとなる日も少なくない。予約枠が限られているうえ、通路が狭く設計されているため、列を締め切ると周辺に滞留する人が殺到し、通行の妨げとなっていた。
「金を出しているのになぜ入れない」
「列に並ばせろと大声を出す人を見た」
「スタッフがかわいそうだ」
「通路が狭すぎる」
「整理券制にしてほしい」
暴力・負傷事故が現場を直撃
8月下旬、列の開放時に来場者が一斉に殺到し、警備員が倒されて腰を打つ事故が2度発生した。数日間勤務できなくなった警備員もおり、現場の安全確保が急務となっている。スタッフも繰り返し胸を突かれるなどのカスタマーハラスメント被害に遭い、週に複数回警察に通報する事態となった。
現場関係者は「事故が起きているのに、運営側はより多くの人を入れることばかりを考えていた」と対応の遅れを批判。協会は「個別事案には答えられない」とするにとどまっている。
9月に入りトラブル増加
会場警察隊によると、8月末時点で会場内の事件・事故は約1640件、うち約490件が事件だった。来場者とスタッフ、来場者同士のトラブルは約210件で、月を追うごとに増加傾向。9月は8月を上回る見通しで、暴行や傷害にあたるケースも20件ほど確認されている。
主な原因は「列に割り込んだ」「足を踏まれた」「傘が当たった」といった小さな接触からの口論で、混雑が過熱すると暴力や暴言に発展する。軽傷者が出る一方、深刻な被害は確認されていないものの、来場者の安全意識の欠如が露呈した。
運営改善の遅れと課題
事故を受け、9月下旬には列の締め切り方式を改め、レーン外にも列を伸ばす方法に変更したことでトラブルは一時減少した。しかし9月29日には再び締め切り方式に戻るなど、オペレーションが安定していない。
現地では「並びたいのに並べない」という不満が根強く、整理券や完全予約制の導入を求める声が多い。通期パスを持つリピーターからも「最難関パビリオン」との声が上がるなど、来場者体験に悪影響を与えている。
「思いやり」が万博成功の鍵
大阪府警の会場警察隊は「楽しい思い出を残すために来場者同士の思いやりが必要」と呼び掛けている。だが、現場で働くスタッフや警備員の安全確保を含め、主催者と各国館が実効性ある対策を取らなければ、今後も混乱は繰り返されるだろう。万博の理念である国際交流や文化理解を実現するには、まず「安心して楽しめる運営」が不可欠だ。