2025-09-19 コメント: 1件 ▼
維新が「副首都」指定条件を公表 吉村代表「本質的改革、副首都ぐらいで連立論は心外」
副首都は道府県単位で指定される仕組みを想定しており、現実的には大阪府が最有力と見られるが、吉村洋文代表は「大阪以外の都市でも目指せる」と述べ、全国的な可能性に言及した。 副首都構想は、日本の政治・経済・行政機能が東京に過度に集中している現状を改める狙いがある。 維新が掲げる「二重行政の解消」は、大阪での都構想を想起させるが、過去の住民投票では否決されており、国民的な合意形成の難しさも課題となる。
維新が示した副首都法案の骨子
日本維新の会は2025年9月19日、党内の勉強会を開催し、かねて掲げてきた「副首都構想」に関する法案の骨子を示した。副首都の指定条件を具体的に明らかにしたのは初めてであり、東京一極集中を是正し、災害時に首都中枢機能を代替できる体制づくりを狙う同党の目玉政策が、いよいよ法制化に向けて動き出した格好だ。
今回示された条件は三つ。第一に「道府県と市などの二重行政が解消されていること」。第二に「人口と都市機能が十分に集積し、経済活動が活発であること」。そして第三に「東京圏と同時被災するおそれが少ないこと」だ。副首都は道府県単位で指定される仕組みを想定しており、現実的には大阪府が最有力と見られるが、吉村洋文代表は「大阪以外の都市でも目指せる」と述べ、全国的な可能性に言及した。
東京一極集中をどう改めるか
副首都構想は、日本の政治・経済・行政機能が東京に過度に集中している現状を改める狙いがある。巨大地震や感染症拡大など国家的危機が発生した場合、東京に機能が集中していること自体がリスクとなる。その代替拠点を複数整備することは、災害対応のみならず、地方経済の活性化や人口分散にもつながるとされる。
ただし、道府県単位で副首都を設けるには、行政の効率化やインフラ整備、法制度上の調整が不可欠だ。維新が掲げる「二重行政の解消」は、大阪での都構想を想起させるが、過去の住民投票では否決されており、国民的な合意形成の難しさも課題となる。
「大阪一極集中にするのでは東京と同じこと」
「地方が副首都に選ばれる条件を整えるには時間がかかる」
「災害時のリスク分散には必要な発想だ」
「結局は大阪優遇策になるのではないか」
「国会提出を渋る姿勢は腰が引けている証拠」
吉村代表の発言と連立論
会見で吉村代表は、副首都構想が与党連立の条件になるかを問われ、「副首都ぐらいで連立するのかという議論は心外だ」と反発した。さらに「これは日本の本質的改革だ。とても難しいが極めて大切なことだ」と述べ、構想を政局の駆け引き材料とみなす風潮に不快感を示した。
維新は法案の骨格を9月中にまとめる方針だが、国会提出については「別の問題」とし、実際の提出時期は明言しなかった。背景には、与党との調整や他の野党の協力をどう得るかという政治的な駆け引きがあると見られる。
副首都構想が問う国の将来像
副首都の整備は、単なる都市政策ではなく、日本全体の統治構造を再設計する作業となる。国の災害対策、地方分権、経済成長戦略のすべてに関わるテーマであり、政治的重みは大きい。維新が掲げる「改革路線」を国民に浸透させられるかが、構想の成否を分ける。
石破政権下で進む憲法改正や安全保障政策と並び、与野党を超えた議論が必要となるが、維新が打ち出す「副首都法案」は、国民にとって実感しやすい「暮らしの安全保障」としての意味も持つ。東京一極集中を変えられるのか、それとも理念にとどまるのか。今後の国会審議が焦点となる。