2025-09-12 コメント: 1件 ▼
大阪IR投資額が1兆5130億円に増額 資材高騰で不透明さ増す採算性
大阪府と大阪市が推進する統合型リゾート施設(IR)の整備計画について、府市の共同組織であるIR推進局は12日、初期投資額が当初計画より2430億円増加し、総額1兆5130億円になると発表した。 大阪府市は依然として「観光客の増加による地域経済の活性化」を掲げているが、巨額投資の負担や事業リスクをどう管理するのか、住民の間には疑念も根強い。
大阪IR投資額が増加 資材高騰で1兆5130億円に修正
大阪府と大阪市が推進する統合型リゾート施設(IR)の整備計画について、府市の共同組織であるIR推進局は12日、初期投資額が当初計画より2430億円増加し、総額1兆5130億円になると発表した。建設資材や人件費の高騰が主因とされ、世界的なインフレや国内の人手不足が直撃した格好だ。
今回の修正では、投資額のうち9830億円を米カジノ大手MGMリゾーツ・インターナショナルの日本法人とオリックスなどが出資し、残りの5300億円は金融機関からの借り入れで調達するとされた。資金調達の枠組みそのものは変わらないが、事業リスクの増大は避けられないとの見方も出ている。
資材高騰が直撃 不透明さ増す収支計画
世界的な建設需要の高まりに加え、円安による輸入コスト増が資材価格を押し上げている。人件費の上昇も重なり、当初計画から2千億円超の増額を余儀なくされた。巨額投資を伴うIR事業において、初期投資額の膨張は採算性や収益予測の不透明さを増す要因となる。
大阪府市は依然として「観光客の増加による地域経済の活性化」を掲げているが、巨額投資の負担や事業リスクをどう管理するのか、住民の間には疑念も根強い。
「結局は地元に負担が回ってくるのでは」
「建設費が膨らんで採算が合うのか不安」
「カジノに依存した成長はリスクが高すぎる」
「夢洲の開発は自然環境への影響も懸念」
「大阪経済の未来を託すには危うさがある」
副首都構想との関連とリスク
大阪府市は「副首都・大阪」を掲げる成長戦略の一環としてIRを位置付けており、万博跡地開発と並ぶ地域経済の柱とされている。しかし、巨額の投資額増加は「経済効果」ばかりを強調してきた従来の説明に疑問を投げかけるものだ。投資額の増大に見合った利益が確実に見込めるのか、あるいは将来的に赤字リスクを抱えることになるのか、長期的な視点からの検証が求められる。
また、外国資本の影響力が強まる中で、地域の利益がどこまで守られるのかも課題である。住民にとっての生活向上と、外資系企業の収益確保が必ずしも一致しない可能性もある。
大阪IR投資の増額が示す課題
1兆5000億円を超える投資は、日本の都市開発事業としても異例の規模である。資材高騰という外部要因による増額は不可避な面があるとはいえ、住民合意や長期的な採算性への説明責任は重さを増している。大阪が副首都構想の中で掲げる「経済成長の起爆剤」が、果たして地域社会にとって実利を伴うのか。それとも財政や社会に負担を残すことになるのか、今後の議論と検証が注目される。