私大入学金返還問題 教育費軽減と私学の経営裁量の狭間で制度見直しは可能か

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私大入学金返還問題 教育費軽減と私学の経営裁量の狭間で制度見直しは可能か

受験生が私立大学に納めた入学金が、入学辞退後も返還されない慣行が議論を呼んでいる。 大阪府の調査では、辞退後に授業料すら返還されなかった事例が4割に上り、家庭の経済的負担が大きな問題として浮かび上がった。 私立大学の運営費は学生納付金に依存しており、入学金返還が広がれば収入減を補うために授業料値上げに踏み切る大学が出る懸念がある。

私大の入学金はなぜ返還されないのか 吉村知事の直訴と大学側の反応


受験生が私立大学に納めた入学金が、入学辞退後も返還されない慣行が議論を呼んでいる。発端は、大阪府の吉村洋文知事が「一保護者」として併願受験の中で入学金を二重払いした経験を記者団に語り、国に是正を直訴したことだった。大阪府の調査では、辞退後に授業料すら返還されなかった事例が4割に上り、家庭の経済的負担が大きな問題として浮かび上がった。

吉村知事は「入学しない大学に入学金を納めるのは、あまりに虫のいい話ではないか」と問題提起。これを受けて府は文部科学省に改善を要望した。

「入学金が返らないせいで受験校を減らした」
「経済力の差で進学の幅が狭まるのは理不尽」
「授業料まで返らないのは法律違反では」
「国公立の発表が遅いのに制度が追いついていない」
「大学経営の都合より学生の将来を優先すべきだ」


入学金の性格と最高裁判例


入学金をめぐっては過去に裁判で争われている。平成18年の最高裁判決では「授業料は未履行だから返還すべき」と判断する一方で、「入学金は入学資格を得るための対価」であり返還義務はないと結論付けた。これが現在の制度運用の基盤となっている。

文科省の調査によれば、私立大の入学金は平均約24万円、国立大でも28万円に達する。家庭の負担は決して軽くない上、授業料の二重払いが重なれば経済的打撃は大きい。大阪府調査でも、230人中104人(45%)が「入学金・授業料ともに返還されなかった」と答えており、返還を求める声が強い。

大学の事情と返還の壁


私立大学の運営費は学生納付金に依存しており、入学金返還が広がれば収入減を補うために授業料値上げに踏み切る大学が出る懸念がある。また、納付期限を3月末まで後ろ倒しすれば、国公立大の合格発表後に辞退者が急増し、定員割れを補う補欠合格が4月以降にずれ込む。その結果、授業計画や予算決定に遅れが出るリスクもある。大学団体からは「根本的な解決には国公立大を含む入試日程そのものの見直しが不可欠」との指摘も出ている。

返還を導入する大学も


一方で、改善に動く大学も現れている。大阪の桃山学院大は併願入試の辞退者に入学金の8割を返還すると発表し、岡山の美作大は国公立大合格者に限り全額返還を決めた。こうした取り組みは受験生と家庭の負担軽減につながる一方、制度として広く定着させるには国の後押しが欠かせない。

有志団体「入学金調査プロジェクト」を立ち上げた五十嵐悠真氏は「すべての合格発表が終わる3月末に入学金納付期限を統一することが理想」とし、署名活動を続けている。経済的事情で受験を諦める子どもをなくすためにも、制度改正の必要性は高まっている。

制度見直しか、それとも大学の裁量か


ただし、私立大学は名前の通り「私」が運営する教育機関であり、国公立とは異なり運営方針も収益構造も民間的な側面を持つ。経営努力や募集戦略は各大学の営業方法とも言えるもので、そこに行政が過度に口を出すことには「行き過ぎではないか」との意見も存在する。教育費負担の軽減と、私学の経営裁量をどう両立させるかが、今後の大きな課題になる。

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2025-09-12 09:26:07(植村)

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