2025-07-13 コメント投稿する ▼
自民党“内部改革”は幻想か――島田洋一氏が投げ掛けた警鐘と保守票の行方
『中から自民党を変える』『懐に入ってぶん投げる』──選挙のたびに聞くが、当選後は『次の選挙』と出世しか見ない。結果、自民党は石破茂氏を総理総裁にするところまで劣化した。もう騙されてはならないだろう
と投稿。党内保守の“変革力”に見切りを付け、読者・有権者に覚醒を促した。
島田氏の主張――「保守派はなぜ踏み出さないのか」
島田氏は十年以上にわたりスパイ防止法や憲法改正などで自民保守派を後押ししてきた。しかし、党内にとどまる議員が「公認」と「ポスト」に縛られ、いざ採決となると執行部に従う現実を何度も目撃したという。「中に入って変える」という言葉は、選挙カーでは力強く響く一方、国会に入った瞬間に色を失う――そんな虚しさが今回の投稿に凝縮されている。
“内部改革論”の限界――小選挙区と公認権の重圧
日本の小選挙区制では党本部が公認を与えるかどうかが生死線だ。落選すれば比例復活は難しく、再挑戦には数千万円単位の資金が要る。「次も公認が得られるか」という恐怖が、若手はもちろんベテランをも沈黙させる。派閥政治が弱まった今でも、公認と資金配分を握る執行部の影響力はむしろ強まったとの指摘もある。
石破茂氏をめぐる“劣化”発言の背景
島田氏が例示した石破茂首相(2024年末就任)も、かつては保守派の旗手だった。しかし政権発足後は財政再建と安全保障で“慎重路線”を取り、経済界の支持こそ得たものの保守層には物足りなさが残る。4月のロイター企業調査でも企業の9割が「期待外れ」と回答した。東洋経済オンラインも「少数与党で通常国会と参院選を乗り切れるか」と先行きを不安視する。
島田氏の「劣化」発言は、こうした政権の“右からの空洞化”と自民党内保守派の無力感を重ね合わせたものだ。
ネット保守の離反――「5人集まれば国政政党」
百田尚樹・日本保守党代表らも「保守派が本気なら離党して新党を作れる」と連日のように発信し、保守票の“避難所”づくりを急ぐ。リアルタイム検索では「自民党内保守派はなぜ出て行かない」「外から圧力を」といった投稿が相次ぐ。従来は「選挙で勝てないから離党できない」が常だったが、近年はクラウドファンディングやSNS動員で資金・支持を確保するケースも増えている。
外に出る保守、内に残る保守――分岐点は政策と資金
◆外に出る派:日本保守党などは「スパイ防止法」「食料安全保障」「移民管理」を旗印に、今秋の衆院補選で議席獲得を狙う。支持母体は中小企業経営者と農漁村の保守層が中心だ。
◆内に残る派:自民党保守議員は「党内外交」で妥協を重ねつつ、防衛費増額や改憲発議を前に進める現実路線を取る。選挙区事情で離党が難しい地方議員の支援も受ける。
両者の溝は、公約の優先順位と資金動員手段の違いに起因する。
世論調査にみる保守票の“遊離”
最新複数世論調査では、自民支持率は4割台を維持する一方、「支持政党なし」が過去最高水準に達し、うち3割強が「自民より右寄りの政策を望む」と回答。岸田政権期の防衛費増額にも「中途半端」と不満を示す声が少なくない。保守票が“居場所”を探している構図だ。
展望――自民党は本当に変われるのか
自民党の内部改革を成功させるには、
1. 公認権と資金配分の透明化
2. 政策ごとの党内自由投票の拡大
3. 官僚依存型立法プロセスの見直し
といった制度改革が不可欠だ。しかし、これらを決定できるのは皮肉にも執行部である。島田氏が「懐に入ってぶん投げる」戦術の無力化を指摘するのは、制度的な壁を熟知しているからだ。
保守層に突きつけられた二択
①党内に踏みとどまり現実的な漸進改革を続けるか。
②外に打って出て議席を奪い、連立交渉や法案提出でプレッシャーを掛けるか。
どちらの道にもリスクは伴うが、保守有権者が「次も同じ顔ぶれ」を受け入れ続ける限り、現状は固定化する。
記者の視点――“中から変える”最後の試金石
今秋に想定される衆院解散・総選挙では、3つのポイントが注目だ。
* 自民党保守派が党議拘束を外れ独自公約を掲げられるか
* 日本保守党など新興勢力が比例で議席を確保できるか
* 石破政権の支持率が選挙戦で回復するか
このうち1つでも自民党の現行体制に痛手を与えれば、「内部改革」幻想に終止符が打たれる可能性がある。
島田洋一氏の投稿は、保守票の心の底に沈殿していた“モヤモヤ”を一気に引き上げた。自民党に期待するのか、それとも新たな勢力に賭けるのか。有権者の選択が、日本の保守政治の形を大きく書き替える岐路に差しかかっている。騙されないためには、選挙直前の耳触りの良いスローガンではなく、当選後の行動と制度設計を冷静に見極める眼差しが欠かせない。