2025-08-01 コメント投稿する ▼
岸博幸氏が石破首相の続投理由に懸念 「戦後80年談話の上書きは最悪」と私見投稿
参院選敗北でも辞任せず、続投の真意は?
7月の参議院選挙での大敗を受けて、石破茂首相に対する退陣圧力が自民党内で高まっている。だが、当の石破氏は辞任の意向を示さず、8月8日の両院議員総会までは職務を続ける姿勢を崩していない。
この状況に、元経産官僚で慶應義塾大学教授の岸博幸氏が8月1日、自身のSNSで私見を投稿。「#石破首相が辞めようとしない理由としては、少しでも長くやりたい、8/15に戦後80年談話を出したい、という2つの可能性あると思うが、後者はマズい」と述べ、石破氏が終戦記念日に向けた「戦後80年談話」の発表を狙っている可能性に懸念を示した。
戦後80年談話「上書き」への懸念強調
岸氏は投稿の中で、「安倍首相が戦後70年談話で戦後に終止符を打った」とした上で、「中国や韓国に甘い立場から変な談話を出してそれを上書きしたら最悪」と指摘。外交や歴史認識において、前政権の立場を覆すような談話が出されれば、国益を損なう結果になりかねないと警鐘を鳴らした。
石破氏はこれまで、歴史問題や外交について中庸・バランス重視の立場を取ってきたとされるが、保守層の一部からは「自虐史観に傾くのではないか」という疑念も根強い。岸氏の懸念は、まさにこの視点からの発言だ。
国民・市民・有権者の声にも不安や疑問がにじむ。
「戦後80年の節目に何を語るかは、本当に重い」
「談話を出すこと自体に反対ではないが、中身が問題」
「安倍談話が既にあるのに、なんでまた出す必要が?」
「石破さんの歴史観はあいまいで心配」
「国民への説明なしに談話を出すのはやめてほしい」
党内の反発と世論の温度差
石破首相の去就をめぐっては、両院議員懇談会で63人中38人が「辞任を求める」と発言するなど、党内では事実上の不信任の空気が漂っている。一方で、「石破氏だけに責任を押し付けるべきではない」「政策をもっと見直すべきだ」といった世論の声もあり、国民の間では意見が割れている。
しかし、8月15日という歴史的に重い節目が近づく中、石破氏が戦後80年談話を発表するかどうかは、単なる政治日程を超えた意味を持つ。外交への影響はもちろん、国内における歴史認識の分断や政治的混乱を招く恐れもある。
談話の内容次第では“レガシー”ではなく“火種”に
歴代政権は、節目ごとに戦後の総括を語る談話を出してきた。村山談話(50年)、小泉談話(60年)、安倍談話(70年)と続き、それぞれが一定の評価や批判を受けつつも、国内外への「メッセージ」として機能してきた。
しかし、安倍談話では「未来志向」を強調しつつも、過去の談話を事実上踏襲し、過度な謝罪からは一線を画した内容となった。保守層からはこれが「外交的バランスを取った談話」と評価されている。
今回、石破首相がもし独自の戦後80年談話を打ち出せば、それが安倍談話と対立的な内容になった場合、保守層を中心に政権への強い反発を招くことは避けられない。とくに、中国・韓国への配慮が強く打ち出された場合には、外交カードとして利用される可能性も指摘されている。
岸博幸氏の指摘は、石破首相がこのタイミングで「辞任せずに残る」ことの背景に、歴史的メッセージの発信という強い意志があるのではないかという視点を投げかけた。その一方で、「談話の中身によっては日本の外交や国内世論に深い亀裂を生む」との懸念もにじむ。
いま問われているのは、誰が政権を担うかという人物論だけでなく、「何を語るか」「どう残すか」というメッセージの中身である。
石破首相が出そうとする「戦後80年談話」が、果たして“政治的レガシー”となるのか、“政治的火種”となるのか——。8月15日がひとつの分岐点となりそうだ。