2025-07-22 コメント投稿する ▼
田中康夫氏「脱お役所」で横浜刷新へ 目安箱と現場主義で“開国の地”から再出発
行政をサービス業に 田中康夫氏の市政ビジョン
8月3日投開票の横浜市長選に立候補している田中康夫氏(69)は、「行政は総合サービス産業である」という信念を掲げ、徹底した“脱お役所”型の市政改革を打ち出している。縦割り組織や前例主義にとらわれず、市民の声に即応する仕組みとして、市幹部が24時間体制で対応する「目安箱ホットライン」の開設を公約に据える。
「市民が困っているときに、“担当外です”“平日9時からです”では話にならない」。田中氏はこう語り、「行政も企業と同じように、市民=顧客の声を聞く姿勢が必要だ」と訴える。自治体にありがちな硬直的な対応を徹底的に見直すと同時に、現場の課題にスピーディーに対応する「機動力ある市役所」への転換を目指す。
長野県政での実績と“再挑戦”の決意
田中氏は東京都出身だが、少年時代を長野県で過ごし、平成12年から長野県知事として2期6年を務めた。知事時代には脱ダム宣言や情報公開の徹底など独自路線を貫き、「改革派知事」として全国的に注目を集めた。その後は参院・衆院でも国政を経験。政治家としての実績は豊富だ。
今回の横浜市長選は、前回に続く2度目の挑戦。現在もFMラジオで番組パーソナリティーを務め、地元住民や経済人と語り合う中で「やはり横浜が好き。この街をなんとかしたい」という想いを強めたという。
4年間で100回を超える「車座集会」を通じて市民と直接対話し、その声をもとに「市政刷新20の約束」を策定した。トップダウンではなく、現場発の市政を志向するその姿勢は、一貫している。
税の見直しと現場配分 徹底した生活者目線
田中氏の政策には、家計と直結する具体策も並ぶ。たとえば、横浜市が導入している「横浜みどり税」や企業優遇策としての「立地促進条例」を撤廃することで、市民の税負担を軽減する考えを明言。過度な都市開発優先から脱し、市民の暮らしを第一に置く姿勢を示している。
また、知事時代の経験を活かし、市内18区長と全86人の市議会議員に予算枠を持たせ、地域ごとの事情に応じた“現場主義”の政策実行を提案。「市民に一番近い場所で、最も必要な施策に使ってもらう」とし、巨大学都市・横浜であっても“顔の見える行政”を目指すという。
さらに、高齢者と乳幼児がともに過ごす「宅幼老所」の創設や、退職した自衛官を学校・地域職員として再雇用するなど、福祉と安全を両立する仕組みも公約に盛り込まれている。
市民からもさまざまな反応がある。
「行政に24時間対応の目安箱? これは攻めてる」
「国政経験もあって実績もある。一度は任せてみたい」
「脱ダムの頃から注目してた。横浜でも改革してほしい」
「改革派だけど市民目線なのがありがたい」
「知名度だけじゃなく政策に筋が通ってる」
“開国の地”から「改国」へ 横浜を起点に日本変革
田中氏は横浜という都市に特別な意味を込めている。「かつて日本が開国したこの地から、今の閉塞した政治を“改国”する」。自身の言葉で語られるそのビジョンには、単なる地方首長選を超えたメッセージ性がにじむ。
地方から国を変える――。その象徴として、田中氏は“再挑戦”を掲げる。長野での改革、国会での経験、市民との対話。すべての積み重ねを、今この横浜で形にしようとしている。
田中康夫氏は、改革派政治家として培ってきた経験と、徹底した市民目線を武器に、横浜市政の刷新を掲げて再挑戦に臨んでいる。「脱お役所」「現場主義」「市民第一」――そのキーワードは、今の市政にどれだけ必要とされているのか。市民の選択が試される一戦となる。