2025-04-25 コメント投稿する ▼
「就学義務」形骸化の現実 小坂英二氏、インターナショナルスクール通学問題を批判
日本の教育制度に揺らぎ インターナショナルスクール通学問題で「就学義務」形骸化の指摘
日本保守党の小坂英二・前荒川区議は、自身のX(旧Twitter)アカウントで、日本国籍を持つ児童のインターナショナルスクール通学が「就学義務違反に当たる」として、地方自治体の対応を厳しく批判した。
学校教育法の「就学義務」とインターナショナルスクールの現状
学校教育法第17条は、保護者に対し、子どもを「学校教育法第1条に定める学校」──すなわち国公私立の小中学校に就学させる義務を課している。また、これに反した場合、10万円以下の罰金が科されるとされている(同法第144条)。
しかし、東京都教育委員会の2023年度調査によれば、23区内だけで日本国籍の児童約4,800人がインターナショナルスクールに通学している。これらの学校の多くは学校教育法第1条に該当せず、「各種学校」あるいは「無認可校」の扱いであり、法的には「義務教育を受けていない状態」と見なされる可能性がある。
自治体の「便宜的対応」に小坂氏が異議
小坂氏は次のように指摘している。
「地方自治体は、義務教育に適した学校に通うよう保護者に要請するが、拒否されれば“区立学校に籍だけ置き、実際は長期休学のまま卒業させる”という形だけ整える便宜を図っている」
この「籍だけ在籍・実質通学なし」という措置について、小坂氏は「就学義務違反を事実上黙認し、制度の形骸化を招いている」とし、「日本の教育を歪める所業」と批判する。
国や自治体の見解と対応
実際、文部科学省はインターナショナルスクールについて、「学校教育法上の正規の学校ではない」としながらも、「国際的な教育ニーズへの対応」として一定の柔軟性を容認してきた。自治体によっては、国際的事情や家庭の多様性に配慮し、登校義務の厳格な履行を求めるより、形式的な卒業資格を与えるに留める運用を行っている。
しかし、こうした現状については、専門家の間でも意見が分かれる。教育行政に詳しい法政大学の田中教授は「現行法が現代の教育ニーズに追いついておらず、制度と現実の乖離が問題」と指摘しつつ、「立法による明確化が必要」とする。
制度見直しの必要性と課題
小坂氏の主張を受けて、今後は以下のような論点が焦点となると考えられる。
- 学校教育法に基づく「就学義務」の定義と運用の見直し
- インターナショナルスクールの法的位置づけの再検討
- 地方自治体の「便宜的対応」の適法性と倫理性
- 多様な教育選択と日本の義務教育制度の整合性
「就学義務の軽視は、制度全体の信頼を損なう。国は形式的な対応をやめ、根本的な是正に着手すべきだ」と小坂氏は訴える。
グローバル化が進む中で、教育の多様性と国家としての教育制度の維持のバランスが問われる時代。今回の小坂氏の指摘は、その根幹に警鐘を鳴らすものとなっている。