2025-06-12 コメント投稿する ▼
年金底上げ法案可決も厚生年金“流用”に懸念 透明性なき改革と減税不在が招く不信
基礎年金の水準底上げ法案可決──透明性なき制度改革が信頼を損なう
6月12日、参議院厚生労働委員会で、将来世代の基礎年金の給付水準を下支えする制度改正を含む「年金制度改革法案」が、自民・公明両党と立憲民主党の賛成多数で可決された。法案の柱は、2029年の年金財政検証において、基礎年金の給付水準が大幅に下がると見込まれた場合、厚生年金の積立金を使って水準を“底上げ”するというものである。
公明党の新妻ひでき参議院議員は採決前の質疑で、「就職氷河期世代に多く見られる低年金問題にも対応する重要な方策だ」と評価する一方、「実施判断のプロセスに透明性を」と念押しした。これに対し石破茂首相は「社会保障審議会年金部会で議論を重ねたうえで国会に諮る」と述べ、制度変更の手続きに対する信頼確保に努める姿勢を示した。
しかし、その“底上げ策”の実効性と公平性、そして財政上の持続性については、国民からの疑念が根強く残っている。
厚生年金の積立金“流用”は許されるか
今回の法案では、あくまで「将来、基礎年金が大幅に下がると予測された場合」のみ、厚生年金の積立金を活用するという条件付きの制度とされている。だが、ここに大きな問題がある。厚生年金の積立金は、主に現役世代の労働と拠出によって形成されており、本来その世代の将来給付を保証するためのものである。
つまり、基礎年金の底上げに充てるということは、いわば現役世代の老後資金を前借りする構図に他ならず、若年層やサラリーマン層にさらなる負担を強いることにもつながりかねない。
「自分たちの年金から勝手に使われるの、納得できない」
「また“現役世代が犠牲”のいつものパターン」
「制度のつけ回しはもうやめて」
SNSではこうした反発の声が目立ち、「財政検証」という不透明な基準によって負担を増やされることへの不安が広がっている。
“氷河期世代救済”の響きとは裏腹に
今回の法案は、「就職氷河期世代の低年金問題に対応する」との美名も掲げている。しかし、実態としてはその世代の“現役労働者”としての所得向上や雇用安定策ではなく、「将来の年金をわずかに上乗せする」という事後的な処置にとどまっている。
低年金の原因は、そもそも非正規雇用や短時間労働などに追い込まれた就労環境にある。根本的な雇用政策の転換や、保険料納付制度の見直しが伴わない限り、問題の本質は解決されない。
「氷河期世代って、老後もその場しのぎの救済だけなのか」
「就職支援より先に、制度で“支えられる側”にされた気がする」
「年金制度に頼らなくていいように、まず減税してくれ」
本来求められるのは、将来の給付調整ではなく、現役世代の所得向上・負担軽減を通じて制度全体の持続性を高める視点である。
透明性ある審議と国民合意なき改革に限界
石破首相は「社会保障審議会の議論を経て国会で審議する」と述べたが、そもそも年金財政検証の前提となる経済成長率や賃金上昇率、就業人口などは不確定要素が多く、意図的に“悲観的シナリオ”を強調すれば制度改変の理由づけに使うことも可能だ。
実際、過去の財政検証においても「説明不足」や「楽観的想定」といった批判が絶えなかった。年金という国民生活の根幹に関わる制度である以上、制度改変の判断には明確な根拠と、国民的な合意形成が不可欠だ。
「社会保障審議会って誰が選んでるの?また出来レース?」
「透明性って言うだけじゃダメ。具体的に公開プロセスにしろ」
という指摘は当然であり、財政検証の前提から公開し、広く議論される仕組みの構築こそが、年金制度の信頼回復に不可欠である。
給付金ではなく減税こそが持続可能な支援
今回の年金改革もまた、「給付を底上げする」という“再分配”的発想に偏っており、抜本的な税と社会保険料の構造改革からは遠ざかっている。政府・与党は近年「給付金による支援」を繰り返しているが、これは一時的な人気取りでしかなく、真に国民生活を安定させるには、恒久的な減税と保険料負担の見直しが必要だ。
特に現役世代にとっては、給付の“将来”よりも、“今”の手取りを増やすことこそが優先課題である。労働意欲の向上と消費の活性化を同時に生む「減税」は、年金財源の長期的な安定にも資する政策であり、与野党を問わず再検討すべきだ。