2025-06-22 コメント投稿する ▼
都議選で勢いを見せる都民ファーストに問われる“中身”と誠実さ
都民ファースト「快進撃」の裏で問われる政治の信頼回復
東京都議選で「都民ファーストの会」が再び勢いを見せている。22日に行われた投開票で、党代表の森村隆行氏(青梅市選出)が早々に当選確実と報じられ、党の開票センターでは拍手が巻き起こった。森村氏は「しっかりと身を引き締め、これまで以上に全力を尽くして東京大改革を進めたい」とコメント。代表自らの当確が出ると、同党は快調なスタートを切った。
だがその一方で、都政が直面しているのは「改革」という言葉の使い古しと、政党のスタンスのあいまいさだ。都民ファーストが一時期掲げた構造改革や身を切る改革といったスローガンは、近年ではあまり聞かれなくなっている。むしろ、今回の選挙での“表現力の勝負”が前面に出てきている印象が強い。
当選確実ラッシュに笑顔 だが中身は?
都民ファーストの開票センターでは、作家の乙武洋匡氏とともに森村氏が次々と当選確実となった候補者に「バラ付け」を行う場面も見られた。「すごいね。もうこんなに(当選確実が)出るんだ」と笑顔を見せる姿は、ある意味で選挙戦の成果を象徴していた。
推薦候補を含め、開票序盤で11人が当確となった同党。しかし、勢いに反して、都民ファーストが打ち出した政策の具体性や実行力には懐疑的な見方もある。「東京大改革」はスローガンとしては響きがあるが、再開発と規制緩和を繰り返すだけでは、都民の生活実感とは乖離しかねない。
「バラの演出は目立つけど、中身が伴ってるのか疑問」
「もう“改革”って言葉に説得力がないよね」
「新しい感覚とかフレッシュさって感じがしない」
「政策より“映え”優先?それって都政でやることなの?」
「都民ファースト、昔の勢いはないけどメディア映えはしてる」
都政に問われるのは派手さよりも誠実さ
都民ファーストの存在感は、2017年の都議選での圧勝によって一気に強まった。だがその後、国政への進出を図った「希望の党」の失速、そして都民ファースト自体の迷走が続き、支持基盤は揺らいだ。今回の選挙での復調は、見た目の“数”としての勝利かもしれないが、それが都民の信頼の回復を意味するとは限らない。
都政が直面する課題は、福祉、インフラ、防災、外国人観光客の急増への対応、不法滞在者対策、教育支援など多岐にわたる。こうした中で、本当に必要なのは、短期的な選挙戦略やイメージ操作ではなく、地に足のついた政策提案と実行力である。
また、減税を伴わない「給付金偏重」のバラマキ型の経済対策は、都民の将来負担を増やすだけで、持続可能性に欠ける。手取りを増やすための根本的な改革——たとえば法人事業税の見直しや、インボイス制度の廃止、都民税の軽減といった視点が抜け落ちていては、真の改革とは呼べない。
イメージ政治からの脱却はできるのか
都民ファーストが掲げる「東京大改革」は、時代とともにその意味が試されている。バラを持って笑顔を振りまく姿が象徴するような「見せる政治」は、確かに注目を集める。しかし、その舞台の裏で、どれだけ現実に根差した政策が議論されているのか。都民の不安や疑念は決して少なくない。
一方で、地方政党が国政政党と対等に戦う姿は、政治の多様性を支える意味では重要だ。ただし、それは「パフォーマンス重視」の姿勢から「政策重視」の姿勢へと脱皮して初めて、真の意義を持つ。
都議選での勝利は、あくまでスタートラインである。実行力と誠実さがなければ、次の選挙ではまた都民の評価は厳しくなるだろう。