2025-12-14 コメント投稿する ▼
河野太郎氏「中国の事前通報、世界常識で通報レベルにない」レーダー照射問題で軍事関係者の見解と一致
米国務省の報道担当者も今回のレーダー照射について「中国の行動は地域の平和と安定に資するものではない」と批判しており、国際社会からも中国軍の対応に疑問視する声が上がっています。 今回のレーダー照射事案は、2013年の中国海軍による海上自衛隊艦船への照射事件以来の深刻な軍事的挑発行為として位置づけられています。
中国軍レーダー照射問題
河野太郎氏が指摘する「世界常識」との乖離 国際社会から見た事前通報の不備
軍事的緊張がさらに高まる日中関係
2025年12月6日に発生した中国軍機による自衛隊機へのレーダー照射問題で、新たな論点が浮上しています。12月14日、自由民主党の河野太郎元外相がフジテレビ「日曜報道 THE PRIME」に出演し、中国軍が主張する事前通報について厳しい見解を示しました。
中国海軍の空母「遼寧」から発艦したJ-15戦闘機が沖縄本島南東の公海上空で航空自衛隊のF-15戦闘機に対し、2回にわたってレーダー照射を実施した事案は、日中間の軍事的緊張を一気に押し上げました。
「これで戦争になるんじゃないの」
「中国が本格的に仕掛けてきた感じがする」
「自衛隊の皆さんが心配です」
「レーダー照射って実際どれくらい危険なの」
「政府はもっと強く対応してほしい」
中国軍の「事前通報」主張に専門家が疑問視
この問題で中国軍は12月9日、空母「遼寧」が海上自衛隊艦船に対して艦載機訓練の実施を中国語と英語で通知したとする音声データをインターネット上で公開しました。中国側は「事前通報後に自衛隊機が訓練区域に入り、50キロに満たない距離まで接近した」として、自衛隊側の行動を問題視する姿勢を示しています。
しかし河野太郎氏は番組で、この中国軍の主張について「世界の常識で言うと、とても事前通報したと言えるレベルにない」と断言しました。さらに「ロシア、北朝鮮は分かりませんが、それ以外の軍の関係者は、あれは事前通報じゃないよねっていうのは常識的にみんなそういう判断をしているんだと思う」と述べ、国際的な軍事常識から見て中国の対応が不適切だったとの認識を示しました。
小泉進次郎防衛相も12月10日の会見で中国側の主張に反論し、「中国側からの連絡に対し、訓練の了承はしていない」と明確に否定しています。防衛省によると、中国軍からの無線連絡には訓練を行う具体的な時間帯や海空域の位置、訓練の規模など安全確保に不可欠な詳細情報が含まれていませんでした。
国際法上求められる事前通報の要件
軍事演習における事前通報について、国際的な慣例では航空情報(ノータム)や航行警報による詳細な情報提供が求められています。これには訓練の時間、場所の緯度・経度、参加規模、危険区域の設定などが含まれ、他国の航空機や船舶の安全航行を確保する目的があります。
河野氏が指摘した「世界の常識」とは、まさにこうした国際的な軍事慣例を指しているとみられます。単に「訓練を実施する」という簡易な通報では、他国の軍事行動を制約したり、危険を回避したりするための情報として不十分というのが専門家の一般的な見解です。
米国務省の報道担当者も今回のレーダー照射について「中国の行動は地域の平和と安定に資するものではない」と批判しており、国際社会からも中国軍の対応に疑問視する声が上がっています。
高まる軍事的緊張と今後の懸念
今回のレーダー照射事案は、2013年の中国海軍による海上自衛隊艦船への照射事件以来の深刻な軍事的挑発行為として位置づけられています。特に中国軍機から自衛隊機への「空対空」でのレーダー照射は初の公表事案であり、軍事専門家は「一線を越えた行為」として強い懸念を示しています。
高市早苗首相は石川県輪島市で記者団に対し「極めて残念だ」と述べ、中国側に強く抗議し再発防止を厳重に申し入れたと明らかにしました。また「毅然かつ冷静に地域の平和と安定に向けて対応する」との方針を示していますが、台湾有事に関する首相発言をきっかけとした日中対立の深刻化は避けられない状況となっています。
防衛省関係者によると、レーダー照射は火器管制レーダーによる可能性が高く、「攻撃の一歩手前の段階」とも評価されています。元統合幕僚長の河野克俊氏は「ある種の攻撃行動と解釈する国もある。極めて危険なアクション」と警鐘を鳴らしており、偶発的な軍事衝突のリスクも指摘されています。