2025-10-07 コメント: 1件 ▼
高市早苗が描く党再生の要に萩生田光一 旧安倍派の再登用で信頼回復なるか
今回の起用は、裏金問題で傷ついた組織をどう立て直すかという、高市総裁の意図を色濃く映している。 高市総裁は就任当初、「事件関係者も更生の機会を与える」と発言しており、今回の萩生田氏の登用は、その考えを具体化した形といえる。 「ドロ船政権の再出発」と皮肉る声も一部にはあり、党内の人事刷新をどこまで本気で進められるかが問われている。
萩生田氏、旧安倍派の代表格として再び中枢へ
自民党の高市早苗総裁は10月7日、新執行部の人事を固めた。注目を集めているのは、幹事長代行に就任する萩生田光一元政調会長だ。党内では「旧安倍派の代表格」として知られ、保守層に強い影響力を持つ。今回の起用は、裏金問題で傷ついた組織をどう立て直すかという、高市総裁の意図を色濃く映している。
萩生田氏は東京都出身の62歳。1989年の八王子市議会議員選挙で初当選し、その後、都議、衆議院議員を経て、自民党の主要ポストを歴任した。文部科学相や経済産業相を務めた経験があり、政策と選挙の両面で「現場を知る実務派」として信頼が厚い。
「保守の再建は、理屈ではなく行動で示す」
「旧安倍派という言葉に縛られず、新しい信頼を積み上げたい」
「高市総裁のもとで、一丸となって政策を進めたい」
「政治は人のためにある。その基本を見失ってはいけない」
「地域の声を政策の中心に置く、それが自民党の原点だと思う」
記者団に語ったこれらの言葉からも、過去の派閥対立を乗り越えようとする意思が感じられる。
“ドロ船政権”批判を避けつつ、党内再生を演出
自民党は、裏金事件で信頼を大きく失った。特に旧安倍派を中心とした資金問題は、国民の不信を招いたままだ。高市総裁は就任当初、「事件関係者も更生の機会を与える」と発言しており、今回の萩生田氏の登用は、その考えを具体化した形といえる。
ただし、世論の見方は厳しい。「ドロ船政権の再出発」と皮肉る声も一部にはあり、党内の人事刷新をどこまで本気で進められるかが問われている。高市総裁が目指す「信頼回復」と「保守再結集」は、言葉だけでは実現できない。萩生田氏が現場で汗をかき、政策と説明責任の両方を果たせるかが試金石になる。
政治の経験と調整力に期待
萩生田氏は安倍晋三元首相の側近として知られ、長年にわたり党内外で調整役を担ってきた。教育政策やエネルギー政策にも明るく、官僚や経済界との人脈も広い。今回の幹事長代行就任により、党運営や選挙戦略で中心的な役割を果たすことが期待されている。
特に注目されるのは、保守派と改革派をどう結びつけるかという点だ。高市総裁の掲げる「積極財政」「成長戦略」「安全保障強化」などの政策を実行に移すには、党内の意見をまとめる力が欠かせない。萩生田氏は「対話を重ねてでも妥協点を探すタイプ」と評され、党の“潤滑油”としての働きが期待されている。
一方で、安倍派出身であることへの世論の反発も無視できない。派閥政治からの脱却を掲げる高市政権にとって、旧派閥出身者の重用は「看板倒れ」と映る危険もある。萩生田氏が実務でどこまで存在感を示し、政治不信を払拭できるかが焦点だ。
政権の安定か、それとも旧体制回帰か
新執行部では、幹事長に鈴木俊一氏、政調会長に小林鷹之氏を起用。麻生太郎氏が副総裁として再登板する。高市総裁は経験と若手を組み合わせた「安定と刷新のバランス」を取ろうとしている。
しかし、党内では早くも温度差がある。「結局は旧体制の延命ではないか」「若手が埋没する」との声も出ている。萩生田氏にとっては、そうした批判を和らげ、組織を一つにまとめることが最大の任務となるだろう。
本人は就任にあたって「自民党の足腰を立て直す」と語った。実績を積み重ねる地道な姿勢が、今後の評価を左右することになる。政治の信頼を取り戻すには、派閥よりも国民を向いた行動が求められる。
高市政権が“ドロ船連立政権”と呼ばれないためには、萩生田氏のような実務家がどれだけ誠実に動けるかが鍵だ。言葉よりも結果で示す政治ができるかどうか、今後の国会運営で真価が問われる。