2025-09-12 コメント投稿する ▼
杉田水脈氏「上書き許されない」発言に賛否 石破首相の戦後80年見解で自民党内対立
石破首相はかねてより戦後80年の節目に新たな発信を行う意欲を示していたが、党内保守派を中心に強い反発が出ている。 戦後80年のメッセージをめぐっては、石破首相は当初「閣議決定による新談話」の形を模索していた。 自民党保守派の多くは、2015年の安倍元首相による「戦後70年談話」を重視している。杉田氏は「上書きは許されない」とSNSに投稿した。
杉田水脈氏「上書きは許されない」 石破首相の戦後80年見解をめぐり賛否
7月の参院選で落選した自民党の杉田水脈元衆院議員が12日までにSNSを更新し、石破茂首相が調整を進める「戦後80年見解」について「安倍晋三元総理の70年談話に足りないものはない。上書きは許されない」と投稿した。石破首相はかねてより戦後80年の節目に新たな発信を行う意欲を示していたが、党内保守派を中心に強い反発が出ている。
戦後80年のメッセージをめぐっては、石破首相は当初「閣議決定による新談話」の形を模索していた。しかし党内調整の結果、形式としては談話を見送る一方、今年の全国戦没者追悼式の式辞で「あの戦争の反省と教訓を、今改めて深く胸に刻まねばならない」と述べ、安倍元首相以来式辞から消えていた「反省」という表現を復活させた。
保守派と石破首相の溝
自民党保守派の多くは、2015年の安倍元首相による「戦後70年談話」を重視している。談話は「未来永劫謝罪を続ける宿命を子や孫に背負わせてはならない」と明記し、戦後外交の一つの区切りと位置付けられてきた。そのため、杉田氏が「上書きは許されない」と主張する背景には、「80年見解」が70年談話の精神を相対化する懸念がある。
石破首相が式辞で「反省」を再び盛り込んだことは、歴史認識をめぐる政府メッセージのあり方に再び注目を集める結果となった。保守派の中には「これ以上謝罪を強調すれば国益を損なう」との警戒感も根強い。
SNSでの賛否
杉田氏の投稿は短期間で大きな反響を呼び、賛否が真っ二つに割れた。
「70年談話でもう十分です!」
「おっしゃる通り、上書きは不要」
「これを出させたら誰が総裁になっても自民党は支持できない」
「石破首相の80年談話には期待する人が多い」
「その当たり前の『二度と戦争を行わない』を軽んじる人間がいるから必要なんだ」
賛同派は「安倍談話で区切りをつけるべきだ」と主張する一方、反対派は「戦争放棄の当たり前の認識が揺らいでいる現状で新しい談話は必要」と訴える。いずれも戦後日本の安全保障観や歴史観に直結するだけに、議論は熱を帯びている。
80年見解をめぐる政治的意味
石破首相が強い思いを持って戦後80年に臨む背景には、国際情勢の不安定化や国内世論の分断がある。ロシアによるウクライナ侵攻や中国の軍事的台頭などを踏まえ、日本の平和主義をどう位置づけるかは、今後の外交・防衛政策の方向性を映し出すものとなる。新しいメッセージが「国民的合意の再確認」となるのか、それとも「党内対立の火種」となるのかは今後の焦点だ。