2025-06-28 コメント投稿する ▼
26歳・高橋巧氏が江東区から都議選初当選 “手取り増”掲げた若き挑戦と課題
最年少当選の背景にある地元の期待と不安
東京都議会議員選挙で、江東区選挙区から国民民主党新人の高橋巧氏(26)が初当選を果たし、今回の選挙で最年少都議の1人となった。3万790票を獲得し、定数4のうち2位当選。若さと“手取りアップ”という現実的な訴えが、今の政治不信が根強い江東区で一定の共感を得た格好だ。
江東区は、下町情緒を残すエリアとタワーマンションが立ち並ぶベイエリアが混在する地域。人口流入が続く一方、物価高と増税、災害リスクなど多くの課題が山積している。そうした中で、高橋氏は「都民の手取りを増やす」をスローガンに掲げ、物価高や税負担に苦しむ都民の暮らしに直球で訴えた。
街頭演説では、現実的な減税策として都の予算を活用した負担軽減策を提案。また、選挙後の取材では「通勤中に本当に『手取りを上げてくれ』と声をかけられた」と述べ、有権者の切実な声を背負う覚悟をにじませた。
“政治一家の新人”という複雑な評価
高橋氏は1998年、江東区亀戸生まれ。祖父は元衆院議員・木村勉氏、伯母は前区長の木村弥生氏、母も元江東区議という政治一家に育ち、社会人経験を経て現在は法政大学の現役学生でもある。
昨年7月の都議補選では無所属で出馬するも落選。その際には、選挙違反で有罪判決を受けた伯母・木村弥生前区長の件を引き合いに出されるなど、逆風も少なくなかった。しかし、今回は国民民主党の公認を得て臨み、着実に票を積み上げた。
この“二世三世問題”について、地域では複雑な声もある。
「26歳、もちろん選挙に出る資格はあるけど、政治経験がないからどうなのかと心配になる」
「若い視点みたいなのはあった方がいい。減税を望んでいる都民の声をちゃんと代弁してほしい」
「政治家一家だからこそ、しがらみに流されず独自性を出してくれれば期待できる」
こうした声からは、若さに期待しつつも、過去との決別や実行力を求める有権者の目が厳しいことが伺える。
“手取り増”をどう実現するか、現実との距離感
高橋氏の政策の柱は「都民の手取りを増やす」ことにあり、具体策としては、子育て世帯支援の「018サポート」の拡充(月5000円→1万5000円)や、国と連携した所得税・消費税の減税、社会保険料の軽減などを挙げている。
東京都は国とは異なり直接的な税制変更は難しいため、「減税」ではなく「都予算による負担軽減」を中心に据える。その現実的な立ち位置は一定の評価を受ける一方、課題もある。
「手取りを多くする政策は賛成。でも、財源は?ちゃんと説明してくれないと支持できない」
「災害対策は水害中心で重点的にやってほしい。城東エリアはゼロメートル地帯だ」
高橋氏は防災対策として上下水道や電気などインフラの耐震化に加え、地元・亀戸を走る小名木川貨物線の旅客化も提案し、交通利便性の向上にも力を入れている。若い議員として、長期的な都市インフラの再整備にも関心を寄せており、「短期的な人気取り」ではない姿勢をどう見せられるかが鍵となる。
都政における国民民主の立ち位置と今後
今回の都議選では都民ファーストの会が第1党を奪還し、自民・公明に加え国民民主とも連携の可能性を示唆している。森村代表は「一緒の方向を見て都政運営を進められる会派とは協力していく」と発言し、現実的な政局の再構築が始まっている。
国民民主党にとって、都政に拠点を持つことは国政への波及効果も大きい。高橋氏のような若手が「手取りアップ」「実質減税」といった経済政策を前面に出すことで、支持層の拡大につながる可能性もある。
一方で、「給付金でごまかすな」「中長期の減税こそ本当の経済対策」という声も根強く、「本気の改革」を求める声も高まっている。
高橋氏がそうした声に応え、若さだけでなく政策実現力を持つ“都民の代表”として成長できるか。都民、そして国政の有権者がその歩みに注目している。