2025-05-09 コメント投稿する ▼
地方創生2.0で注目されるモバイルクリニック:看護師教育と診療報酬見直しの課題を議論
地方創生2.0とモバイルクリニック:地域医療の課題を現場の声で解決へ
2025年5月、参議院地方創生及びデジタル社会の形成等に関する特別委員会で、国民民主党の礒﨑哲史議員は、地方創生2.0の構想に現場の声を反映させる重要性を強調した。特に、モバイルクリニックを通じたオンライン診療の拡充において、看護師の教育体制と診療報酬制度の見直しが必要だと訴えた。
看護師の教育体制と診療報酬の課題
礒﨑議員は、モバイルクリニックが地域医療を支える重要な手段である一方、現行の診療報酬制度では、看護師が行う点滴や注射といった補助行為が適切に評価されていない現状を指摘した。これにより、現場で働く看護師の負担が増加し、医療の質の維持が難しくなる恐れがあるという。
「看護師がオンライン診療に従事する場合、特化した教育と研修体制が不可欠です。現場で必要なスキルを確実に身につける仕組みが必要です」と礒﨑議員は強調。厚生労働省は、在宅医療の需要増加に対応し、オンライン診療に適応できる看護師の育成を進める意向を示した。
診療報酬制度の見直しと規制改革
礒﨑議員は、看護師の業務が適切に評価されないままでは、モバイルクリニックの持続可能性が損なわれると警鐘を鳴らした。特に、点滴や注射といった医師の指示の下で行う看護師の行為が診療報酬に算定されない問題を指摘。「現場の実態に即した診療報酬制度を構築すべきだ」と主張し、規制改革推進会議での検討を要請した。
厚生労働省は、令和8年度の診療報酬改定に向けて現場実態の調査を行い、中央社会保険医療協議会(中医協)での議論を進めることを表明した。
モバイルクリニックの持続可能性:運営費への支援を
モバイルクリニックは、初期投資だけでなく車両の維持費や人件費など、運営費が継続的に発生する。礒﨑議員は、政府が運営費への継続的な支援を検討し、地域医療を支えるモバイルクリニック事業の持続可能性を確保する必要があると指摘した。
「初期投資だけではなく、日々の運営費をどう支えるかが事業継続の鍵です。地域住民が安心して医療を受けられる体制を確立するため、支援策の拡充が必要です」と述べた。
現場の声を反映した政策立案が必要
今回の委員会での議論は、地方創生2.0における現場の声の重要性を再確認し、地域医療の課題を浮き彫りにした。モバイルクリニックのような地域医療支援の取り組みを持続可能にするためには、以下の対応が求められる:
* 看護師の教育体制を強化し、オンライン診療に対応できるスキルを確保。
* 診療報酬制度を見直し、看護師の補助行為を適切に評価。
* モバイルクリニックの運営費に対する継続的な支援を検討。
今後、地方創生2.0の基本構想策定においても、こうした現場の課題を踏まえた柔軟な制度設計が求められる。