2025-10-11 コメント投稿する ▼
交野市長・山本けいの“交際費ゼロ”改革と果実構想
大阪府交野市長、山本けい氏は、市長交際費を一切使用せず、退職金も支給せず、公用車を売却するなどの「身を切る改革」を掲げて着実に実行している。 山本氏の最重要課題は、交野市が過去に抱えた土地開発公社の不要土地と巨額負債の整理である。 こうした資金運用と負債軽減は、単なるスローガンではなく実効性をともなう改革として位置づけられている。
交野市長・山本けい “身を切る改革”の実践
大阪府交野市長、山本けい氏は、市長交際費を一切使用せず、退職金も支給せず、公用車を売却するなどの「身を切る改革」を掲げて着実に実行している。就任以来、自らの利益を切り捨て、市政の緊縮と効率化を強く訴える姿勢を示してきた。
山本氏は、市長交際費を「1円も使っていない」と明言しており、自腹で名刺を作成すると表明。職員名刺は公費負担とした一方で、市長自身の名刺は自腹とする制度を導入したと語っている。こうした措置は、形式だけでなく象徴性の高いけじめである。
また、月額報酬を約30%削減し、退職金を廃止。公用車も売却し機能的・節約的な運営を目指す。これらはすべて、交野市の財政を圧迫する過去の負債処理と将来世代への負担軽減を視野に入れた政策の一環だ。
土地開発公社負債整理と財政健全化への布石
山本氏の最重要課題は、交野市が過去に抱えた土地開発公社の不要土地と巨額負債の整理である。かつてピーク時で約368億円と報じられた保有地・債務の一部を市が買い戻してきたが、依然として大きな負担が残っているという。
就任後、山本氏はこの問題を真正面から取り組むと表明し、緊急防災・減災事業債や起債の見直しを駆使しながら、負担比率の低減を図っている。令和5年度末時点では公社保有残高を約50億円台にまで引き下げたとされ、今後も継続的な整理を進める計画だ。
さらに、金利圧縮や利回り運用の最適化にも注力。市債を短期債中心に組み替え、利子支払を圧縮する戦略を採っている。こうした資金運用と負債軽減は、単なるスローガンではなく実効性をともなう改革として位置づけられている。
市民還元と政策拡充:給食無償化・子育て支援
山本市政は、「身を切る」だけでなく、市民福祉の拡充にも力を入れている。令和7年度施政方針では、小学校5年生までの給食無償化を拡充する計画を掲げ、保護者負担の軽減につなげようとしている(これまでは小学校6年〜中学校3年対象)。
また、妊産婦や乳児家庭への支援も前倒し。妊産婦タクシー助成の拡充や、おむつの定期便事業など、生活者目線の支援策が次々と導入されようとしている。
更に、公共施設の改修・耐震化、LED化、橋梁補修、学校跡地活用など、インフラ整備や災害対応を見据えた投資も積極的に盛り込んでいる。こうした政策は、財政枠とのせめぎ合いの中で、どこまで実行できるかが焦点となるが、意欲ある姿勢は既に一定の評価を得つつある。
評価と課題:象徴と現実の狭間で
山本市長の改革は政治家の“覚悟”を強く示すものであり、象徴としての力は大きい。市民との対話にも重きを置き、タウンミーティングや意見交換会を通じて市政運営を透明化しようと努めている。市内世論調査で、約65%が評価またはやや評価との結果を示したことも、支援基盤の一因と見られている。
一方で、こうした象徴政策だけでは限界もある。土地開発公社の整理、インフラ維持、人口減少対応、持続可能な税収確保といった構造的課題は一朝一夕には解決しない。見せる改革を超えて「やる改革」に昇華させていく必要がある。
個人的には、山本氏の姿勢を肯定する。改革を掲げる政治家が自己犠牲を実践し、それを政策と整合させようとする姿は、地方政治における信頼回復のひとつのモデルになり得る。ただ、それを過剰に演出すると逆効果にもなり得るため、実績の積み上げと説明責任を厳しく問っていきたい。山本けい市長は、これからが正念場である。