2026-01-05 コメント投稿する ▼
「若い職員は起業家精神を」和歌山・宮崎泉知事が年頭訓示、万博成果活用と梅雹被害に言及
和歌山県は2026年1月5日、県庁近くのホテルで仕事始めの式典を開き、宮崎泉知事氏が幹部職員約140人を前に年頭訓示を行いました。宮崎知事氏は新しい県の総合計画が始まる年として、若い職員に起業家精神を持って県庁内で改革や新規事業に取り組むよう期待を寄せました。一方で、2025年の梅の雹被害やパンダ不在の白浜観光など、県が直面する課題にも言及しました。
万博の成果を今後の観光に活かす
宮崎知事氏は訓示の中で、2025年4月から10月まで開催された大阪・関西万博について触れ、「昨年の大阪・関西万博では、県にとっても成果があった。今後も大阪から人が流れてくる仕掛けや国際交流を広げたい」と述べました。
和歌山県は万博の関西パビリオン内に「和歌山ゾーン」を出展し、251平方メートルのスペースで映像、食、舞台を通じて和歌山の文化や歴史の魅力を発信しました。紀伊山地の巨木を思わせる高さ4メートルの映像タワーを8本立て、熊野三山や南方熊楠など和歌山の精神性を「混ざる・結ぶ」というテーマで表現しました。
万博期間中、和歌山ゾーンは多くの来場者を集め、県の観光PR効果は大きかったとされています。宮崎知事氏は、この成果を一過性のものにせず、大阪方面からの観光客誘致につなげたい意向を示しました。
梅の雹被害が深刻、被害額は48億円超
一方で宮崎知事氏は、県が抱える課題についても率直に語りました。中でも深刻なのが、2025年に発生した梅の雹被害です。
和歌山県は2025年4月に、3月下旬から4月中旬にかけて県内に降った雹や突風による農業被害が48億1186万5千円に上ったと発表しました。このうち梅の被害が最も大きく、田辺市とみなべ町を中心とする9市町で計4300ヘクタール、47億7832万9千円の被害となりました。
「二年連続の不作で、梅農家は本当に厳しい状況だ」
「雹で傷ついた梅は見た目が悪くなり、商品価値が下がる」
「このままでは廃業する農家が増えてしまう」
「国産梅が中国産に置き換わったら、日本の梅文化が失われる」
「行政は雹被害を受けた農家への支援を急いでほしい」
農家や関係者からはこうした深刻な声が上がっています。
2年連続の不作で梅産業が危機
和歌山県の梅は2024年にも記録的な不作に見舞われていました。暖冬の影響で開花が例年より20日以上早まり、雌しべ不完全花が増加しました。さらに受粉樹との開花時期がずれたことや、開花後の天候不順でミツバチの受粉活動がうまく行えず、2024年の県内の梅の収穫量は2万9700トンと前年比51パーセント減となりました。
2025年は一時、平年並みの収穫が期待されていました。しかし4月6日、11日、14日、15日と計4回にわたって雹が降り、多くの梅の実が落果したり傷ついたりしました。ある農園では約9割の梅に傷がついており、着果数も過去10年平均比の67パーセントにとどまっています。
2000年以降の降雹による梅の被害として最大規模となり、単一災害としては過去10年で最大の被害額となりました。県は被害を受けた農業者への支援策として、無利子の特別融資などを実施しています。
パンダなき白浜、紀南の観光をどう守るか
宮崎知事氏はまた、「パンダなき白浜、紀南の観光をどう守るかなどさまざまな問題がある」と指摘しました。白浜町のアドベンチャーワールドは長年、ジャイアントパンダの飼育で知られ、多くの観光客を集めてきました。しかし中国との協定により、パンダが返還されるなどの事態が発生すれば、観光への影響は避けられません。
紀南地域は熊野古道や温泉など豊富な観光資源を持っていますが、パンダという大きな集客力を失った場合の代替策を考える必要があります。宮崎知事氏は、こうした課題に対して新しい発想で取り組むことを職員に求めました。
若い職員に起業家精神を求める
宮崎知事氏は「若い職員は起業家精神をもって、県庁の中で改革を進めたり、新規事業を立ち上げたりしてほしい」と期待を寄せました。これは従来の行政の枠にとらわれず、柔軟な発想で課題解決に取り組むことを求めるものです。
さらに幹部職員には「若い人たちを育てていただきたい。県の職員は優秀だと言っていただいているが、人として立派といわれたいと思う」と語りました。技術や能力だけでなく、人間性を重視した人材育成を求める姿勢を示しました。
宮崎知事氏は2025年6月の知事選で初当選し、急逝した岸本周平前知事氏の路線を継承する形で県政を担っています。1959年生まれで、大阪大学人間科学部卒業後、和歌山県に入庁しました。知事室長、教育長、副知事を歴任し、行政経験が豊富です。
今年は新しい県の総合計画がスタートする節目の年であり、宮崎知事氏は「これからの皆さんの頑張りが一番大事になる」と職員を鼓舞しました。万博の成果を活かした観光振興、梅産業の再建、新しい発想による課題解決など、和歌山県は多くの課題に直面しながらも、新たな一歩を踏み出そうとしています。