2025-04-08 コメント投稿する ▼
北方領土巡りまたも締め付け ロシア「北対協」排除、日本は交流維持へ努力続ける
北対協は、政府の北方領土政策の一翼を担い、元島民のビザなし渡航や啓発事業などを手がけてきた団体。ロシア側が日本の対露政策や領土返還運動に対し圧力を強めるなかでの動きとみられ、日露関係のさらなる冷え込みが懸念されている。
北方領土への思い、踏みにじられた形に
ロシア最高検察庁が今回の指定に踏み切ったのは、日本国内での北方領土返還運動を支援していることが「ロシアの安全保障に脅威を与える」と判断したためだという。実際、声明では「日本の領土要求を支援する団体」として北対協を名指しし、活動の制限を正当化している。
しかし、北対協が行っているのは、元島民らが先祖の墓を訪ねる墓参や、子や孫世代への記憶の継承といった人道的で文化的な事業が中心だ。林長官も「元島民の心情を踏まえた誠実な取組を行ってきた」と強調し、ロシア側の主張には根拠がないと反論した。
交流の灯、消させない
ロシア側はここ数年、日本の関係団体に対する締めつけを強めている。2022年には、千島歯舞諸島居住者連盟(千島連盟)や北方領土復帰期成同盟(北方同盟)も同様に「好ましくない団体」として排除対象にされた。今回の北対協の指定はこれに続く措置だ。
日本政府はウクライナ侵攻に対する経済制裁などで欧米と足並みをそろえており、ロシアとの関係は悪化の一途をたどっている。こうしたなかでも、日本は元島民の墓参や、島をルーツとする人々の思いを絶やさぬよう努力を続けてきた。
林官房長官は記者団に対し、「人道的な観点からも、墓参や交流は続けていく必要がある」と語り、ロシアに対して対話の扉を閉ざさぬ姿勢を強調した。
外交努力の行方は
北方領土問題は戦後80年近くにわたり未解決のままだ。日本は歯舞群島、色丹島、国後島、択捉島の四島を「日本固有の領土」と位置づけて返還を求めてきた。一方のロシアは、第二次大戦の結果として領有権を主張し、両国の立場は平行線をたどっている。
今回の措置で、両国間の信頼関係はさらに揺らぐことになりそうだ。政府内では「元島民への支援と外交交渉は両立できる」との声がある一方、交流の場が次々と閉ざされる現実に、関係者の間では落胆も広がっている。
- ロシアが北対協を「好ましくない団体」に指定、日本政府が即座に抗議し撤回を要求。
- 北対協は元島民の墓参や啓発事業を行う独立行政法人。
- ロシアは「日本の領土要求を後押し」として排除の対象に。
- これまでにも千島連盟や北方同盟が同様の指定を受けている。
- 林官房長官は「人道的観点からも交流事業は必要」として、対話の継続を重視。
- 北方領土問題の解決と交流事業の継続をどう両立させるか、外交の手腕が問われる局面に。