2025-04-08 コメント投稿する ▼
USスチール買収 再審査へ 日本製鉄計画、トランプ氏が再指示
買収をめぐる議論は今年初め、バイデン前政権が「国家安全保障上の懸念」を理由に計画を阻止したことから始まった。一時は完全に頓挫したかに見えたが、トランプ氏の政権復帰により、再び風向きが変わってきた。
- トランプ大統領がCFIUSに再審査を命令。45日以内に結論を出す見通し
- 林官房長官は「民間企業の経営判断に関すること」としつつも、必要な範囲での関与を示唆
- 日本製鉄は「公正な審査がなされれば、米国にとってもプラス」と歓迎のコメント
- USスチール側も引き続き買収完了に意欲を見せる
- 米国内の鉄鋼労組は依然として反対姿勢を崩さず、「雇用や国家の安全保障に脅威」と警戒
- トランプ氏は2月の岸田首相との会談で「投資なら歓迎」と柔軟姿勢を示していた
- 再審査の報道を受けてUSスチールの株価が急騰、市場は期待感を強めている
企業買収の行方、日米関係にも影響
日本製鉄は世界でも有数の鉄鋼メーカーであり、米国のUSスチールを傘下に収めることができれば、グローバル市場における競争力は格段に高まると見られている。一方で、米国内では「重要インフラに関わる企業が外国資本に渡ること」への不安が根強い。
林官房長官は会見で、「個別企業の経営判断には立ち入らない」と慎重な姿勢を見せつつ、「政府としては必要に応じて関係者間の円滑な意思疎通に努める」と述べた。日米経済関係への波及を見据え、政権としても無関心ではいられない構えだ。
日本製鉄とUSスチール、それぞれの思惑
日本製鉄は今回の再審査について、「客観的で事実に基づいた審査がなされれば、我々の買収提案は米国の経済と安全保障の強化に資するはず」とする前向きな姿勢を崩していない。一方のUSスチールも、「引き続きトランプ政権と協力して、買収完了に向けて努力したい」とのコメントを出している。
労組は強く反発、市場は前向きに反応
USスチールの労働組合「全米鉄鋼労働組合(USW)」は依然として警戒を強めており、「国家と経済の安全保障に対する重大な脅威」として反対の声をあげている。特に、雇用や労働環境の悪化を懸念している模様だ。
その一方で、トランプ大統領の再審査指示を受けて市場はポジティブに反応。USスチールの株価は報道直後に急騰し、一時16%を超える上昇を見せた。
今後の展望
今後、CFIUSは45日以内に審査結果をまとめ、トランプ大統領に報告する予定だ。仮に買収が認可されれば、日本製鉄にとっては大きな前進となるが、政治的・労働的な反発をどう乗り越えるかが課題となる。
今回の買収計画は、単なる企業間のM&Aにとどまらず、日米の経済関係、さらには国家安全保障にも関わる重要な問題として、今後の展開から目が離せない。