2025-09-18 コメント投稿する ▼
林芳正氏が総裁選公約発表 実質賃金1%上昇と中選挙区制復活で自民党の再生を狙う
林氏は会見で、自らの政策パッケージを「林プラン」と題し、その柱として実質賃金の1%上昇を定着させる経済政策、持続可能な社会保障制度の確立、さらに中選挙区制度の再導入を打ち出した。 経済政策の要点は、単なる物価対策ではなく生産性向上と賃金上昇を同時に達成し、家計の実質的な購買力を守ることである。 憲法改正を避けてきた過去の政権との違いを際立たせる狙いがあるとみられる。
林芳正氏の立候補と政策の柱
自民党の林芳正官房長官(64、衆議院山口3区)は2025年9月18日、党総裁選への立候補を正式に表明した。退陣する現職総理で自民党総裁の石破茂の後継を決める選挙であり、10月4日の投開票に向けて注目が集まる。林氏は会見で、自らの政策パッケージを「林プラン」と題し、その柱として実質賃金の1%上昇を定着させる経済政策、持続可能な社会保障制度の確立、さらに中選挙区制度の再導入を打ち出した。
林氏は「岸田文雄前総理、石破政権の路線を受け継ぎつつ、新しいものを加える」と述べた。実質賃金が物価上昇に追いついていない現状を重く見ており、単発の給付金ではなく継続的な賃上げを可能にする仕組みづくりを強調した。
経済と社会保障への取り組み
林氏は、低・中所得層への支援強化として「日本版ユニバーサル・クレジット」を掲げた。所得に応じて支給額を変える仕組みで、従来の一律給付よりも公平かつ持続的な制度と位置付ける。さらに、団塊ジュニア世代が高齢者となる2040年代を見据え、社会保障制度を長期的に維持するための工程表を作成するとした。
経済政策の要点は、単なる物価対策ではなく生産性向上と賃金上昇を同時に達成し、家計の実質的な購買力を守ることである。これにより消費を下支えし、成長につなげる狙いがある。
「給付金をばらまいても根本的な改善にはならない」
「まずは働く人の賃金を継続的に上げる仕組みを作るべき」
「物価高に苦しむ家庭には、減税と安定的な賃金上昇が必要だ」
「一律配布は人気取りに過ぎない」
「本当に必要な支援を、必要な人に届けるのが政治の役割だ」
選挙制度改革と党の方向性
林氏が特に力を込めたのが選挙制度改革である。小選挙区制が導入されて30年が経過した現状を踏まえ、「一度検証した上で、与野党で議論を始めたい」と語り、中選挙区制度の再導入に意欲を示した。地域の多様な声を反映させる狙いがあるが、選挙のコストや候補者調整の難しさといった課題もある。
また、党の綱領そのものを見直す可能性にも言及。「自民党は何を実現するための政党なのかを再確認すべきだ」と述べ、保守離れの傾向が指摘された参議院選挙の結果を踏まえて党の姿勢を問い直す姿勢を打ち出した。ここで石破総理の下で揺らいだ保守層の支持を取り戻せるかが、林氏にとって重要な課題になる。
憲法改正と安全保障
林氏は憲法改正についても明確な立場を示した。自民党が掲げる「改憲4項目」の一つである自衛隊の明記について、国民への理解を深める努力を進めると同時に、国会での発議を目指すとした。憲法改正を避けてきた過去の政権との違いを際立たせる狙いがあるとみられる。
安全保障や外交についての具体策は会見で多く触れなかったが、林氏がこれまで外務大臣や防衛大臣を務めてきた経験から、国際情勢への現実的な対応を強調する可能性は高い。今後の政策発表が注目される分野である。
他候補の動向と総裁選の構図
総裁選は林氏だけではない。高市早苗前経済安全保障担当相はすでに立候補の意向を示し、小泉進次郎農林水産相も麻生太郎最高顧問や岸田前総理らに出馬の意思を伝えている。茂木敏充前幹事長や小林鷹之元経済安保担当相も動きを活発化させており、党内はすでに選挙モードに突入している。
総裁選は単なる党首選びではなく、国民生活や経済政策に直結する。特に減税を優先すべきか、それとも給付金で対応すべきかという論点は、各候補の立場を分ける焦点となる。林氏は「減税を軸に据えるべき」との考えをにじませており、給付金中心の政策を「一時的な人気取り」に終わる危険があると指摘している。
林氏の政策は、実質賃金の安定的な上昇や中選挙区制復活といった具体性を伴う一方で、実現可能性に疑問も残る。特に賃金上昇を持続させるには、企業の投資、生産性向上、そして減税による経済環境の改善が不可欠である。また、選挙制度改革は国民的議論を避けて通れない。総裁選の結果次第で、自民党が「泥舟連立政権」と批判されるリスクを払拭できるかどうかが問われている。