2026-01-15 コメント投稿する ▼
広島市の終活ノート「いきいき人生ノート」が人気で品薄に 1万部がひと月で配布完了、4月増刷へ
広島市が2025年12月12日から無料配布を始めたエンディングノート「いきいき人生ノート」が、わずかひと月で用意した1万部が品薄になる反響を呼んでいます。2026年1月15日には広島市役所で終活セミナーも開催され、定員150人の予約が即座に埋まる人気ぶりです。
予約が殺到した終活セミナー
広島市役所本庁舎で開かれた終活セミナーには、あらかじめ満席となった150人が参加しました。会場では専門家が終活の基本となる家族との話し合いや葬儀の事前準備、遺言書の作成など、人生終盤の心構えを丁寧に解説しました。
参加者の多くは高齢者で、広島市健康福祉局高齢福祉部高齢福祉課の升井亮課長氏によると、セミナーでは「おひとりさまが増える中で助かる」「娘たちに迷惑をかけないように」といった声が聞かれたといいます。
「地域の人にこのノートを知らせたい」
「娘たちに迷惑をかけないように準備しておきたい」
「おひとりさまが増える中で、こういうノートは本当に助かる」
「いざというときに備えて、しっかり書いておかなければ」
「冷蔵庫に貼っておけるシールがあるのが便利だと思う」
行政が作る理由と独自の工夫
なぜ行政がエンディングノートを作成するのでしょうか。升井課長氏は「行政に関する各種制度の概要や相談窓口など、お役立ち情報をわかりやすく入れることで、終活に役立ててもらいたい」と説明しています。
全48ページのこのノートは、人生の節目となる退職、配偶者との別れ、病気や入院、認知症の疑いなど高齢期に起こりうる出来事が整理され、それぞれに対応する行政の相談窓口が一覧で掲載されています。高齢者と支援先をつなぐ役割も担っているのです。
広島市が特に工夫したのは、一人暮らし向けの配慮です。玄関や携帯電話に貼る2種類のシールをノートと一緒に配布し、冷蔵庫にノートを掲示して玄関の内側にシールを貼っておくことで、緊急時にノートの存在を知らせる仕組みを作りました。
記入しやすい選択式を採用
記入の負担を軽くするため、意思表示については選択式が目立ちます。例えば葬儀については「多くの人と盛大に」「近親者のみでごじんまりと」「しなくてよい」などからチェックで選べます。お墓についても、お墓を用意してある場合と用意していない場合で記入項目が分かれ、状況に応じて考えを整理できる工夫がされています。
増加する自治体のエンディングノート
自治体がエンディングノートを配布する動きは全国で広がっています。全国約1800の自治体のうち、少なくとも3分の1程度の自治体がオリジナルのエンディングノートを配布したことがあるといいます。
空き家対策や独居高齢者への配慮などの理由で、福岡市や桑名市、川崎市など多くの自治体が無料配布を実施しています。特に桑名市では2025年2月から配布していたエンディングノートが好評につき、2025年5月に増刷したほどです。
広島市の高齢化率は26.6%
広島市の65歳以上の高齢者は約31万人で、2025年3月末時点で市の人口の26.6%を占めています。升井課長氏は「高齢者がいきいきと安心して暮らせる社会を目指したい」と語っています。
なお、このノートの作成費用は広告収入で賄われており、広島市の負担なく実施されました。広告を含めた全48ページの内容は、医療や介護の希望、財産や相続、エンディングに関することなど、終活に必要な情報が網羅されています。
2026年4月に増刷予定
品薄になった「いきいき人生ノート」は、2026年4月をめどに2回目の配布を始める予定です。それまでの間は、広島市の公式ホームページからPDF形式でダウンロードすることも可能です。
「人生の終盤を自分らしく」という思いを受け止める広島市版エンディングノートは、高齢化が進む社会で一人ひとりが安心して暮らすための重要なツールとなっています。市民からの反響の大きさは、終活への関心の高まりを示すものといえるでしょう。
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