2025-08-15 コメント投稿する ▼
砥板芳行氏が訴える「挑発回避」と外交重視 尖閣・台湾有事で問われる石垣市長選の選択
石垣市長選で問われる砥板氏の安全保障観
尖閣諸島を抱える石垣市の市長選は、地域住民の暮らしに直結する安全保障の在り方が最大の焦点となっている。とりわけ、前市議の新人・砥板芳行氏が示すスタンスは、中山義隆氏の「断じて譲らず」とは一線を画すもので、注目を集めている。砥板氏は、防衛力強化が拙速に進められることへの懸念や、外交的解決の必要性を強調し、住民の視点に立った議論を求めている。
「住民不在」の防衛力増強に疑問
砥板氏はまず、防衛力増強の進め方に大きな問題意識を示す。「台湾有事を念頭に、想像を超えるスピードで反撃能力配備が検討され、米軍との共同訓練が行われているが、これは受け入れがたい」と強調する。自らはかつて八重山防衛協会に所属し、自衛隊配備の必要性を認めてきた経緯がある。しかし、駐屯地拡張が環境アセスメントを回避する形で進められている可能性を指摘し「非常に問題だ」と疑問を投げかけた。
また「『台湾有事は日本有事』という言葉ばかりが独り歩きしている。納得できる説明を聞いたことがない」として、国に説明責任を強く求める。政府が進める避難計画についても「なぜ先島諸島の住民だけが対象になるのか」と追及し、市民に寄り添った姿勢を示している。
「挑発を避け外交を重視」
砥板氏が一貫して主張するのは「挑発を避ける」という方針だ。尖閣諸島についても「政治的な思惑でアピールのために尖閣に近づく行為は不測の事態を招く恐れがある」と述べ、日本側の行動にも冷静さを求める。強硬姿勢一辺倒ではなく、外交による解決を重視するのが砥板氏の特徴である。
同時に、尖閣諸島が石垣市の行政区域であることを広く発信する意義は認めており、尖閣資料館の整備には前向きだ。地域として存在を発信しつつも、過度な緊張を高めない方策を模索していると言える。
地域に根差した視点と市民への訴え
砥板氏は自衛隊家族を含めた約千人との信頼関係を築いてきたと述べ、「共に市民として市を支えてもらいたい」と強調する。単なる安全保障論ではなく、市民の生活基盤をどう守るかという視点を欠かさない。市長選の争点は、国の方針を無条件に追随するのか、それとも地域から異議を唱え、市民の声を届けるのかにかかっている。
ネット上でも砥板氏の姿勢に共感や疑問の声が入り混じる。
「外交で解決を目指すのは現実的だと思う」
「挑発を避ける姿勢は理解できるが、中国に弱腰では困る」
「住民不在のまま進む防衛強化はおかしい」
「尖閣資料館の整備で発信するのは賛成」
「市民の避難計画が不透明なのは不安だ」
砥板氏が訴える「挑発回避」と「説明責任」は、石垣市民にとって現実の安全保障政策と生活の狭間で大きな意味を持つ。強硬策と外交路線の狭間で、住民がどの選択を下すのか注目される。