2025-04-18 コメント投稿する ▼
防衛省設置法改正案が衆院委で可決 日米一体化に懸念の声も
日米一体化に懸念も 防衛省設置法など改正案、衆院安保委で可決
防衛省設置法などの改正案が4月18日、衆議院安全保障委員会で可決された。政府が進める「安保3文書」に沿って、自衛隊の指揮体制や装備を強化し、日米の軍事連携をさらに深める内容となっている。自民、立憲民主、維新、国民民主、公明の各党が賛成し、共産党は反対した。
「憲法9条踏みにじる」と共産・赤嶺氏が強く批判
討論で日本共産党の赤嶺政賢議員は、「この改正案は、憲法9条の精神を真っ向から踏みにじるものであり、むしろ地域の緊張と対立を高める」と厳しく批判した。
赤嶺氏は、自衛隊が導入を進めるイージス・システム搭載艦や、統合作戦司令部の強化が「米軍が主導するミサイル防衛システム(IAMD)の一部として、日本の防衛力を米軍の指揮下に組み込むものだ」と指摘。また、新たに編成される陸自の補給本部が、南西諸島や台湾海峡有事を見据えた前線部隊への即応体制強化につながると訴えた。
「住民の命に関わることを秘密裏に進めるな」
質疑では、赤嶺氏が陸上自衛隊補給本部の役割について質問。防衛省の青柳肇・整備計画局長が「具体的な事例は答えられない」と述べたのに対し、「住民の命や安全に関わる重要な問題を、説明もなく秘密裏に進めることは到底許されない」と反発した。
国会の関与が形だけに? ACSA法改正に懸念
改正案では、外国軍との物資・役務の相互提供を定めたACSA(物品役務相互提供協定)の国内実施法について、従来は個別に法律を整備してきたが、今後は共通規定に一本化し、新たな協定締結時の国会提出を原則不要とする。赤嶺氏はこれについて「国会審議を形だけのものにし、立法府の権限を侵害する」として強く批判した。
「自衛官の処遇改善」は軍備強化のため?
政府は今回の改正で、自衛官の勤務環境改善や手当の充実を打ち出しているが、赤嶺氏はこれも「軍事力の強化を正当化する口実だ」と疑問視する。中途退職の理由に「処遇の悪さ」を挙げた自衛官は全体の2%に過ぎないというデータも示し、「むしろウクライナ侵略の影響で、武力行使が現実味を帯び、自衛隊に対する忌避感が広がっている。さらに、自衛隊内でのパワハラやセクハラが蔓延している実態にも目を向けるべきだ」と訴えた。
今後の焦点は参議院審議へ
法案は今後、参議院に送られ、引き続き審議が行われる。防衛力の増強を急ぐ政府と、憲法との整合性や国会の関与のあり方を問う野党との攻防が、より激しさを増すことが予想される。