2025-07-30 コメント投稿する ▼
泊原発パブコメに“架空文献”使用の疑い 原子力規制委が生成AIによる誤情報の可能性を指摘
パブコメに“AI捏造”疑惑 泊原発審査で規制委に架空文献、原子力行政にも生成AIの影
原子力規制委員会は7月30日、北海道電力泊原発3号機(北海道泊村)の再稼働審査に関するパブリックコメント(意見公募)で、存在しない文献を出典とする意見が複数寄せられていたことを明らかにした。規制委によると、こうした「架空文献」を根拠としたパブコメは過去に例がなく、生成AIの誤用による可能性が否定できないという。
原子力行政の重要局面において、AI由来とみられる誤情報が公式審査の意見募集に混入したことは、行政の透明性や科学的議論の質にも大きな影響を与える可能性がある。
架空文献が混入 6点中4点が“存在せず”
規制委によると、今回のパブリックコメントでは計143件の意見が寄せられ、そのうち2件において、存在が確認できない文献4点が出典として提示された。さらに、残る2点も実在はするものの、指摘されたような地震評価に関する根拠が見当たらなかったという。
特に問題視されたのは、「規制委の山岡耕春委員が執筆した」とされる論文。山岡氏は30日の定例会合で「そんな論文を書いた記憶はない」と明言し、「生成AIで文献を検索した際に、こうした“ありそうな論文”が出てくる事例があると聞く。事実確認を怠ることは危険だ」と警鐘を鳴らした。
「パブコメにまでAIの捏造文献が使われる時代か…」
「批判の根拠が架空論文って、本末転倒すぎる」
「AIを使うなとは言わないけど、最低限の確認は必要」
「科学的議論の場に嘘のデータを持ち込むのは有害」
「これが審査に影響するようなら民主主義の危機だよ」
市民の間でも、AI技術の利用と責任のバランスを巡って厳しい視線が注がれている。
“AIでそれっぽい文献”の危うさ 行政も対策迫られる
生成AIは、論理的な構文や信ぴょう性の高そうな内容を自然に出力する能力に長けている反面、「実在しない文献をもっともらしく作る」という性質も指摘されている。今回のように、それをチェックせず行政に提出すれば、意見公募制度の信頼性を損なうリスクがある。
規制委の担当者も、「今後は意見内容の出典について、一定の真偽確認の必要性が生じる」として、対応の検討を進める方針を示した。
これにより、単なる情報技術の話にとどまらず、「行政手続きにおけるAI利用とリテラシーの問題」が顕在化しつつある。
パブコメ制度と市民参加の信頼が問われる
パブリックコメント制度は、本来、市民が政策や行政判断に意見を述べる重要な参加手段である。にもかかわらず、AIによって生成された誤情報や“でっち上げ”が紛れ込めば、科学的・民主的手続きそのものが揺らぐ危険性がある。
とくに原発の再稼働という国民の関心が高く、安全性への信頼が不可欠なテーマにおいて、根拠の不確かな意見が審査材料に紛れ込むことは、議論の質を大きく損なう。
規制委は今後、AI活用を含めた意見提出の在り方や、事実確認プロセスの強化など、制度全体の見直しを迫られる可能性がある。