2026-03-20 コメント投稿する ▼
幌延の風力発電でバードストライク続発 停止中の風車にも衝突・対策限界露わ
しかし2026年1月には再びオジロワシが衝突、同年2月には停止中の風車でオオワシが負傷するという事態が起き、2026年2月にはすべての風車の日中運転が再び停止されました。 環境省北海道地方環境事務所も「環境アセスメントの調査時にバードストライクの発生を適切に予測・評価できていなかった可能性がある」と認めており、事前審査のあり方が問われています。
停止中の風車にも鳥が衝突 幌延の風力発電施設で絶えぬバードストライク 対策の忌避音に「慣れた」指摘も
北海道天塩郡幌延(ほろのべ)町で風力発電を運営するユーラスエナジーホールディングス(HD)は2026年2月、日中の運転を停止していた風車の羽根にオオワシ1羽が衝突したと発表しました。右翼の複雑骨折という重傷で、停止中の風車でさえも希少種を守ることができなかった深刻な事態が明らかになりました。
2年10カ月で13羽死傷 「世界最悪水準」を上回る衝突頻度
幌延町の「浜里ウインドファーム(WF)」は、ユーラスHDのグループ会社・合同会社道北風力(北海道稚内市)が運営する風力発電施設です。2023年5月に営業運転を開始し、4,300キロワットの風車14基で合計4万7,500キロワットを発電します。
しかし運転開始からわずか1カ月後の2023年5月に、天然記念物で環境省の保護増殖事業の対象でもある絶滅危惧種・オジロワシの最初の衝突が確認されました。その後も事故は相次ぎ、2026年2月までにオジロワシ12羽、オオワシ1羽の合計13羽が死傷する事態となっています。
専門家の間では、直近約1年間の風車1基あたりのバードストライク(鳥類の施設衝突事故)発生数が、「世界最悪水準」とされるノルウェーのケースを上回ると指摘されています。環境省北海道地方環境事務所によると、北海道全体での海ワシ類のバードストライクは記録が残る2003年度以降の22年間で102件が確認されていますが、2024年度だけで過去最多となる17件が発生し、このうち約5割の8件が浜里WFで起きています。
「絶滅危惧種を守るためなら、風車を止めるのは当然の判断だと思う。再エネだからといって自然破壊が許されるわけじゃない」
「忌避音に慣れてしまうなら、そもそも設置場所の選定が間違っていたんじゃないか。なぜ最重要な渡りルートに建てたのか」
「再生可能エネルギーの推進は大切だけど、オジロワシのような希少種の命も同じくらい大切にしてほしい」
「環境アセスメントで予測できなかったと言うけど、専門家や野鳥の会はずっと前から警告していたんですよね」
「全基停止になって発電できない期間が続いた。この損失はどこかで跳ね返ってくる。電気代だけじゃなく立地選定のコストも国民が負担している」
目玉模様、忌避音、自動停止 次々と打つ手も効果は限定的
事業者のユーラスHDは事故が発覚するたびに鳥類専門家と協議しながら対策を強化してきました。2023年9月には風車のタワー側面やナセル(発電機部分)上部に、鳥が嫌がる目玉模様を施しました。
しかし事故は止まらず、2024年12月には欧州で実績のあるバードストライク対策システムを国内で初めて全14基に導入しました。風車タワー10メートルの高さに360度カメラとスピーカーを四方に設置し、半径1キロメートル圏内に接近した鳥類を検知、300メートル圏内に入ると「ピュイッ」という鳥の鳴き声に似た忌避音を発して進路変更を促す仕組みです。
ところがこのシステム導入後にも7羽の衝突が確認され、鳥類専門家からは「忌避音に慣れてしまった可能性がある」との指摘が上がりました。2025年3月25日、事業者はついに全14基の日中(日の出1時間前から日没まで)の運転を停止する異例の措置に踏み切りました。その後、忌避音の音量アップやスピーカーの追加設置といった改良を重ね、渡りの季節が終わった2025年7月12日から衝突件数の多い1基を除く13基の運転を再開しています。
しかし2026年1月には再びオジロワシが衝突、同年2月には停止中の風車でオオワシが負傷するという事態が起き、2026年2月にはすべての風車の日中運転が再び停止されました。
「立地選定そのものが問題」 専門家や日本野鳥の会が警鐘
日本野鳥の会は、この浜里地区がオジロワシにとって「国内で最も重要な渡りルートの一つ」であることを、2017年から2018年にかけての独自調査で既に明らかにしていました。同会は浜里WFの計画段階から意見書を提出し、立地選定に懸念を示してきた経緯があります。
一連の事故について日本野鳥の会は、「日中稼働停止という対策をとってもバードストライクが起きる場合があり、野鳥への影響を回避・軽減するためには立地選択が最も重要だ」と改めて訴えています。環境省北海道地方環境事務所も「環境アセスメントの調査時にバードストライクの発生を適切に予測・評価できていなかった可能性がある」と認めており、事前審査のあり方が問われています。
再生可能エネルギーの普及は脱炭素政策の柱の一つとして推進されていますが、希少種の生息域を軽視した立地では自然と再エネの深刻な矛盾が生じます。国や事業者には、発電効率だけでなく生態系への影響を科学的・慎重に見極める厳格な立地基準と審査体制の整備が急務です。
まとめ
- 北海道幌延町・浜里WFで2023年5月の運転開始以来、2026年2月までに計13羽(オジロワシ12羽、オオワシ1羽)が死傷
- 直近1年間の風車1基あたりの衝突件数は専門家が「世界最悪水準」と称するノルウェーのケースを上回る
- 2024年12月導入の忌避音システムは効果が限定的で、導入後も7羽が衝突
- 停止中の風車にもオオワシが衝突(右翼複雑骨折)するなど、日中停止措置でも被害が防げない実態が判明
- 日本野鳥の会は計画段階から浜里地区が「国内最重要の渡りルート」と警告しており、立地選定の根本的見直しを要求
- 環境省も「環境アセスメントで予測できなかった可能性がある」と認め、事前審査のあり方が問われている
- 再エネ推進と希少種保護を両立させるための厳格な立地基準・審査体制の整備が急務