2025-11-26 コメント投稿する ▼
泊原発再稼働容認へ 鈴木直道知事に札幌で抗議相次ぐ
北海道の泊原発(3号機)について、鈴木直道知事が「再稼働やむなし」との認識を固め、11月28日の道議会で再稼働を容認する方針を示す見通しとなりました。 鈴木知事は再稼働の理由として、電力の安定供給や北海道のエネルギー政策の必要性を挙げています。 泊原発は北海道唯一の原発であり、3号機の再稼働を巡る議論は北海道全体のエネルギー政策に直結します。
知事、事実上の「再稼働同意」方針固める
北海道の泊原発(3号機)について、鈴木直道知事が「再稼働やむなし」との認識を固め、11月28日の道議会で再稼働を容認する方針を示す見通しとなりました。道内外で環境団体や市民が反対の声を強めるなか、知事の判断は地元自治体の同意とともに、原発運転再開への重大な一歩と位置づけられています。
背景には、2025年7月に実施された安全審査で、泊原発3号機の設置変更が認められたことがあります。これを受けて電力会社である北海道電力は、2027年度早期の再稼働を目指すとしています。
鈴木知事は再稼働の理由として、電力の安定供給や北海道のエネルギー政策の必要性を挙げています。道議会や関係自治体の理解を踏まえたうえで、総合的に判断するという表現を使いながらも、事実上の同意表明に踏み切る構えです。
札幌市民ら反対 駅前で抗議と署名活動
これに対し、11月26日、札幌駅前では原発問題全道連絡会と国民大運動北海道実行委員会による抗議宣伝が行われました。参加者らは「原発事故は今なお収束していない。原発と人間社会は共存できない」と声を上げました。再稼働計画に含まれる防潮堤や専用港湾の建設費、そして高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の処理技術が未確立な点などを問題視しました。
署名活動には年配の女性や避難経験者、家族連れなど多様な市民が参加し、「今までの教訓はないのか。信じられない」「子どもの未来まで核のごみを残したくない」といった言葉とともに次々と署名が集まりました。参加者の多くは、再稼働に強い不安と危機感を抱いています。
再稼働の“命題”――安全性と処分問題
泊原発は北海道唯一の原発であり、3号機の再稼働を巡る議論は北海道全体のエネルギー政策に直結します。北海道電力は再稼働後、化石燃料による火力発電への依存を減らし、電気料金の引き下げを11%程度見込むと説明しています。
しかし、運転停止から長年が経つなかで、地震や津波に対する安全対策、防潮堤や港湾の整備、さらには使用済み核燃料や核のごみの最終処分場問題など、クリアすべき課題は山積みです。これらの問題に対する住民の理解や納得が十分かどうかは、道民全体の命と安全に関わる重大な論点となります。
また、再稼働の同意を得た立地自治体だけでなく、北海道全体の議論が必要という市民の声は根強く、今後、知事や道議会がどのように道民の声を受け止め判断するかが問われます。
岐路に立つ北海道 再稼働容認か地元の懸念か
知事が再稼働容認の方針を固めたことで、泊原発3号機の運転再開は現実味を帯びています。ただ、それは北海道のエネルギー政策や電力料金にとってプラスとなる可能性がある一方で、地震・津波リスク、核のごみ問題、防災体制の脆弱さなど根本的な懸念を再燃させるものです。
札幌での抗議や署名の動きは、再稼働への抵抗と懸念の象徴です。多くの市民が「子どもたちの未来を守りたい」と訴えており、ただの地域問題ではなく北海道全体の将来を左右する重大な判断です。
12月に予定される正式な同意表明に向け、道議会での議論とともに道民の声をどう反映させるかが、今後の焦点となります。北海道は、再稼働への道を進むのか、それとも別のエネルギー・未来像を模索するのか――住民の命と暮らしを守る選択を、北海道全体で考える時が来ています。