2025-11-25 コメント投稿する ▼
鈴木直道北海道知事が泊原発再稼働容認方針、電力安定供給重視で経済効果期待
北海道の鈴木直道知事が11月25日、北海道電力泊原子力発電所3号機の再稼働について容認する方針を固めたことが明らかになりました。 電力の安定供給と経済成長を重視し、当面の現実的な選択として原発活用が必要との判断に至りました。 北海道電力は10月31日、泊原発3号機の再稼働後に家庭向け電気料金を11%程度値下げすると発表していました。
鈴木北海道知事、泊原発再稼働容認へ
電力安定供給と経済効果を重視、周辺4町村の同意固まる中「現実的選択」として判断
北海道の鈴木直道知事が11月25日、北海道電力泊原子力発電所3号機の再稼働について容認する方針を固めたことが明らかになりました。知事は11月28日に始まる道議会の一般質問で、再稼働を認める考えを表明する方向で調整しています。電力の安定供給と経済成長を重視し、当面の現実的な選択として原発活用が必要との判断に至りました。
規制委合格から4か月、地元同意への転換点
泊原発3号機は2025年7月に原子力規制委員会の安全審査に合格し、再稼働に向けた大きな節目を迎えていました。東京電力福島第一原発事故の影響で2012年5月から停止している同原発は、2013年に再稼働申請したものの、敷地内断層の活断層問題などで審査が長期化していました。
三橋剛副知事が25日、道議会最大会派の自民党・道民会議に方針を説明し、知事の容認姿勢が正式に伝えられました。鈴木氏はこれまで「道議会での議論や関係自治体、道民の声、経済団体からの要望を踏まえて総合的に判断する」として態度を保留してきましたが、地元自治体の同意状況や経済的なメリットを総合的に判断したとみられます。
鈴木知事は12月上旬にも泊原発を視察し、地元町村長と意見交換する方針で、道議会での議論や道民の声を踏まえて最終的な地元同意の判断を検討する考えです。北海道電力が目指す2027年早期の再稼働実現に向けて、大きく前進することになります。
周辺4町村の同意相次ぐ、地域経済への期待高まる
再稼働には北海道電と安全協定を結ぶ周辺4町村(泊村、神恵内村、共和町、岩内町)と知事の同意が必要ですが、地元自治体の合意形成は順調に進んでいます。
泊村の高橋鉄徳村長は11月17日に同意を表明し、周辺4町村で最初の同意を明確にしました。共和町議会も11月4日の臨時本会議で早期再稼働に同意することを決定しています。岩内町議会では既に同意の意見書を可決しており、神恵内村も近く表明の見通しです。
地元自治体が再稼働に積極的な背景には、長期間の停止による地域経済への影響があります。原発関連の雇用や税収の減少、地域の人口流出などの課題を抱える中で、再稼働による経済効果への期待が高まっています。
「原発再稼働で地域に活気が戻ってほしい」
「長年停止していた分、雇用創出に期待している」
「税収増加で自治体運営が安定する」
「関連企業の撤退が続いていたので朗報だ」
「地域全体の経済効果を考えると必要な選択」
電気料金11%値下げ、道民生活への直接メリット
北海道電力は10月31日、泊原発3号機の再稼働後に家庭向け電気料金を11%程度値下げすると発表していました。これは原発再稼働に伴う電力会社の値下げ率としては最大規模で、関西電力が2018年に大飯原発再稼働で実施した3.5%の約3倍に相当します。
現在の北海道電力の家庭向け電気料金は月約9,335円と全国最高水準となっており、11%値下げにより約8,310円まで引き下がる計算です。北電は燃料費の削減効果を年間約600億円と試算し、安全対策費を差し引いても年間約500億円の収支改善が可能としています。
電気料金の大幅値下げ方針は、道民の再稼働への理解を得るための重要な材料となっています。物価高が続く中での家計負担軽減は、再稼働への地元同意を後押しする大きな要因となっています。
ただし専門家からは、値下げ幅について「燃料費節約分のみを計算したもので、原発稼働に伴う固有コストを考慮すると実際の値下げ幅は圧縮される可能性がある」との指摘も出ています。また、地元同意を得るための「打ち上げ花火」的な性格を懸念する声もあり、持続的な料金体系への疑問も残されています。
エネルギー安全保障重視、脱炭素と経済の両立目指す
鈴木知事の容認姿勢の背景には、エネルギー安全保障の重要性があります。ウクライナ侵攻以降、化石燃料価格の高騰や供給不安が深刻化し、エネルギーの安定供給が国家的課題となっています。
北海道電力の現在の電源構成は火力発電が8割超を占めており、石炭やLNGなどの燃料費は年間約1,700億円に達しています。泊原発の再稼働により火力発電の稼働率を下げることで、燃料費の大幅削減と供給安定性の向上が期待されています。
また北海道は「ゼロカーボン北海道」を掲げ、2030年度に温室効果ガス48%削減という国を上回る目標を設定しています。原発は発電時にCO2を排出しないため、脱炭素社会実現に向けた重要な電源として位置づけられています。
鈴木知事は電力の安定供給と経済成長の両立を図るため、再生可能エネルギーの拡大と並行して原発の活用も必要と判断しました。洋上風力発電やグリーン水素の活用など新エネルギー開発を進める一方で、当面の現実的選択として原発再稼働を容認する方針です。
木原稔官房長官は25日の記者会見で「予断を持ってコメントすることは差し控える」としつつ、「国も前面に立って新規制基準の審査結果や再稼働の必要性、原子力防災対策について粘り強く説明する」と述べ、政府としても地元理解の促進に努める考えを示しています。