2025-10-17 コメント投稿する ▼
ニセコ外国人共同住宅、北海道知事が許可も国に注文「共生は自治体に限界」と指摘
北海道倶知安町で最大1200人規模の外国人労働者向け共同住宅建設計画を巡り、鈴木直道知事は2025年10月17日の定例記者会見で農地転用を許可したことを明らかにしました。 同時に外国人との共生については市町村や都道府県レベルで対応に限界があると述べ、国に対して受け入れの全体像と考え方を示すよう求めました。
農地転用許可の背景と知事の判断
北海道は2025年10月16日、倶知安町の約2.7ヘクタールの農地で外国人労働者らを対象とした共同住宅を建設する計画について、都市計画法に基づく開発と農地法による農地転用を許可しました。この農地は市街地に近い第3種農地に該当し、条件を満たせば原則として転用が許可されます。道は周辺農地への影響が少ないと判断し、事業者の計画が審査基準を満たしているとして許可を出しました。
鈴木直道知事は17日の定例記者会見で道として町農業委員会の意見を踏まえ、農地法の許可基準に適合するとして許可したと説明しました。さまざまな声があることは認識しつつも、町と連携して不安払拭に努める考えを示しています。
住民の強い懸念と異例の経緯
計画によると、倶知安駅から南東約700メートルの市街地に2から3階建ての共同住宅30棟を建設し、最大1200人が居住する見込みです。これは町の人口約1万4000人の約1割に相当する規模で、冬季にリゾートで働く外国人労働者らの入居を想定しています。
倶知安町の農業委員会は2025年7月、治安悪化への懸念を理由に全会一致で計画を否決し、農地転用に反対する意見書を道に送付しました。開発計画が否決されるのは極めて異例です。その後、町農業委員会は転用を許可相当と判断したため、道への申請時に転用はやむを得ないとの意見書を添える異例の経緯をたどりました。
「1200人も来たら治安が心配で夜も安心できない」
「外国人が増えすぎて地域の文化が変わってしまいそう」
「小学校も近いし子どもたちの安全が第一です」
「住宅不足は深刻だけど規模が大きすぎると思う」
「きちんとルールを守って共生できるなら賛成だけど」
住民からは交通量の増加や騒音、ゴミ問題など生活環境の変化を懸念する声が相次いでいます。近隣住民らは262人分の署名を町と農業委員会に提出し、慎重で合意形成を重視した判断を求めていました。
知事が国に注文、自治体の限界指摘
鈴木知事は冬季の労働力確保と地域の安全確保の観点から宿舎をコンパクトに建設する必要があると指摘しました。ニセコ地域では近年、外国人観光客の急増に伴いホテルやレストランなどの従業員が不足しており、住居の確保が深刻な課題となっています。
一方で知事は外国人との共生については市町村、都道府県レベルの対応に限界があることは事実と述べ、国に対して注文を付けました。外国人受け入れの全体のあり方や考え方を国として示してほしいと求め、地方自治体だけでは対応しきれない現状を明らかにしました。
ニセコで加速する外国人増加と課題
倶知安町は外国人住民の増加数が町村部で全国1位となり、2024年より833人増加しました。2025年1月の人数は2年前の同月より2000人近く増えています。ニセコエリアでは外国人との共生を巡るトラブルも後を絶たず、羊蹄山の麓にある森林が無許可で伐採された問題も表面化しています。
外国人労働者の受け入れは国の制度設計が不可欠です。日本全体で外国人労働者が増加する中、言語教育や生活支援、法令順守の徹底など、国による包括的な施策が求められています。鈴木知事の指摘は、自治体が直面する共生の課題を浮き彫りにしたものといえます。