2025-09-02 コメント投稿する ▼
釧路湿原のメガソーラー工事に中止勧告 環境破壊か再エネ推進か揺れる北海道
釧路湿原のメガソーラー工事に中止勧告
北海道の象徴であり国立公園としても知られる釧路湿原の周辺で、大規模な太陽光発電施設「メガソーラー」の建設が問題となっている。大阪の事業者が森林を切り開いてパネル約6600枚を設置する工事を進めていたが、知事の許可を得ないまま開発が行われていたことが判明し、北海道は2日、事業者に工事中止を勧告した。
森林法では、0.5ヘクタールを超える規模の開発には知事の許可が必要とされている。ところが現地調査の結果、開発面積は0.8ヘクタール余りに及んでいたことが確認され、違法性が明らかになった。今後、事業者は土地を元に戻すか、改めて知事に開発許可を申請するかの対応を迫られる。
「釧路湿原は国の財産、軽々しく開発するべきではない」
「再生可能エネルギーは大事だが、ルールを守らない事業は信用できない」
「タンチョウの生息環境が脅かされるのは深刻だ」
「大阪の会社が北海道の自然を壊すのか」
「環境保護とエネルギー政策の両立を本気で考えるべきだ」
環境保護と再生可能エネルギーのはざまで
今回の問題の背景には、再生可能エネルギー導入を急ぐ国の政策と、自然保護のバランスの難しさがある。釧路湿原は国の特別天然記念物であるタンチョウの繁殖地であり、オジロワシなど希少種も生息している。環境保護団体からは早い段階で懸念が示されており、国の自然保護政策との整合性が問われてきた。
一方で、再エネ推進の流れの中で「メガソーラー」は各地で急増している。林野庁は3年前に森林法を改正し、要件を厳格化したが、今回のように基準を満たさないとの主張で強行されるケースは後を絶たない。特に森林や湿原の開発は一度進むと原状回復が困難であり、長期的な環境負荷が懸念されている。
国と自治体の対応強化
環境省はこの問題を重く見て、職員を現地に派遣し、釧路市などから直接要望を聞き取った。鶴間秀典市長らは「環境に配慮しない太陽光発電施設への規制強化」を国に要望。浅尾環境大臣は「関係省庁と連携し、国としての対応を検討する」と述べ、制度的な見直しを示唆した。
北海道が工事中止を勧告したことは、地方自治体が環境保護の立場から毅然とした対応を取った例として注目される。ただ、事業者は「勧告は工事全体ではなく一部」と主張し、法的な争いに発展する可能性もある。自治体と事業者、さらには国がどのように折り合いをつけるかが焦点となる。
自然保護とエネルギー政策の調和は可能か
釧路湿原は国内外から観光客が訪れる自然遺産であり、日本の環境政策の象徴でもある。ここでのメガソーラー建設問題は、再生可能エネルギー推進が自然環境を犠牲にしてよいのかという根源的な問いを突きつけている。
再エネ導入は持続可能な社会のために欠かせないが、同時に「どこに、どの規模で設置するか」という立地選定の課題が浮き彫りになった。乱開発を防ぐ規制の強化や、住民・自治体との協議の徹底が不可欠だ。今回の問題は、全国の再エネ開発に警鐘を鳴らす出来事として、長く議論を呼ぶだろう。